メシマコブ

メシマコブは、野生の桑の古木に寄生するタバコウロコタケ科のキノコである。生育するにつれて、こぶ状から扇状になり、外見はサルノコシカケに似てくるという。メシマコブという和名は、長崎県女島の桑の木に、こぶ状に生えていたことに由来する。
メシマコブは韓国において盛んに研究されており、数多くの基礎研究によって抗ガン作用が示されてきた。ただし、臨床試験のデータは十分とはいえない。

1968年、国立がんセンターによって行われた研究で、メシマコブが強力な抗ガン作用をもつことが示された。
その研究では、マウスにサルコーマ180というガン細胞を移植し、サルノコシカケ科のキノコの熱水抽出物を投与し5週間後に増殖阻止率が測定された。その結果、メシマコブによるガン増殖阻止率は96 .7% にも達したという。なお、キノコの熱水抽出物とは、いわゆる煎じ汁に相当する。
30年以上前に、日本ではメシマコブの強力な抗ガン作用が知られていたが、野生のメシマコブは少量しか存在せず菌糸体の採取が困難であった。最近になり、韓国の製薬メーカーが培養技術を確立し、抗ガン作用に関するデータも報告され始め、日本でもメシマコブのサプリメントが注目されている。

メシマコブの中で、高い抗ガン作用をもつ2 種類の菌株が見出され、それぞれ「PL2」「PL5」と命名された。PLとは、メシマコブの学名の頭文字に由来する。一連の基礎研究により、メシマコプの抗ガン作用は、
① ガン細胞増殖抑制効果、
② ガン細胞転移抑制作用、
③ 抗ガン剤との併用による相乗効果
④抗ガン剤の副作用軽減効果
などを介して発揮されることが示された。また、メシマコブは自己免疫力を高めることで、ガンの予防においても優れた効果を発揮する。この作用は、NK細胞やマクロファージの活性増強、Tリンパ球やBリンパ球による反応の増強などによる。さらに、メシマコブの作用に関して、細胞内情報伝達メカニズムの解明も進みつつある。日本における研究として、メシマコブによって、
① ヒト前立腺ガン細胞の増殖抑制効果
② メシマコブとチャーガによる抗腫瘍効果と放射線防御効果
③ 実験的マウス敗血症性ショックの緩和効果、
④ マウスにおけるマクロファージとリンパ球の活性化、
⑤ ヒト膵臓ガンに対する抗腫瘍効果
などが報告された。

有効成分のもつ抗ガン作用や抗酸化作用などによって生活習慣病の予防や改善を目的とする場合、短期間では効果が期待できないので、継続して利用する。

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