メリロート

メリロートは、マメ科シナガワハギ属のハーブである。英名はスイート・クローバー、和名はセイヨウエビラハギという。メリロートの有効成分は、静脈やリンパの流れを改善し、下肢などの浮腰をとる作用をもつ。男性に比べて下半身の筋肉量が少ない女性では、立ちっばなしや座りっばなしの仕事で静脈の流れが悪くなり、下肢がむくみやすい。
また、運動不足や無理なダイエットで筋肉が減少すると、むくみの原因となる。メリロートは、リンパ系および静脈循環系の流れを改善し下半身のむくみをとるサプリメントとして使用されている。ダイエット目的で勧められることもあるが、メリロートでは、脂肪吸収や合成を抑制したり体脂肪を減らしたりといった作用は認められない。

効能、効果は、静脈やリンパの循環不全による浮腰の改善。浮腫に伴う痛みといった症状の改善。

有効成分は、抗凝固作用をもつクマリン誘導体、抗酸化作用をもつフラボノイド類(ケルセチンなど)、大豆などに含まれるトリテルペン類(サポニンなど) が中心で、その他に揮発性油脂も存在する。これらの成分が共同して働き、炎症を抑制し、体液成分の浸出による病態を改善する。その結果、静脈やリンパ管の炎症性あるいは閉塞性の浮腫に効果を発揮するのである。

基礎研究では、収縮した血管・リンパ管を弛緩させる効果や、炎症を抑える効果が示されている。たとえば、メリロートは、リンパ管平滑筋の収縮リズムと収縮力を用量依存的に抑制したという研究がある。
その他、マウスにメリロートエキスを投与した実験では、消化管平滑筋の弛緩による消化管の収縮運動の抑制、軟便化作用が認められた。メリロートのリンパ循環改善効果について、19 99年にイタリアから興味深い研究が報告された。乳ガンと診断されたとき、乳房にできたガンを外科的に切除する治療法がある。
乳ガンの手術では、転移を防ぐため、わきの下のリンパ節も同時に取り除かれる。しかし、リンパ節切除のため、術後に腕にむくみが出る場合がある。イタリアで行われた臨床研究では、乳ガンの手術に伴うリンパ節切除術後に上腕のむくみが生じた患者24人に対して、メリロートが6ヶ月間、毎日投与された。その結果、メリロート投与群では、上腕の周囲長の減少(改善) およびむくみに伴う自覚症状の改善が認められた。一方、メリロートを投与されなかった対照群の全員が、上腕の周囲長および自覚症状ともに悪化したという。手術の他、放射線療法、外傷などがリンパ浮腫の原因となる。近畿大学の研究では、続発性リンパ浮腰に対する効果が報告された。

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