快眠につながる効果的な昼寝

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夜の睡眠時間を短くするために最も効果的な昼寝の方法とは、どのようなものでしょうか。昼寝する時刻や時間、準備、姿勢、目の覚まし方について、科学的根拠に基づいて見ていきましょう。

1.昼寝するのは、昼の0時から15時の間

「昼寝したくなるのは、昼ご飯を食べたから」というのは、ある意味では正しいことです。食事をしてお腹がふくれると、脳から「満腹物質」が出て眠気を誘います。しかし、眠らせてしまうほどの強い働きはありません。

朝食の後は昼のように眠くなりませんし、昼食を抜いてもお昼過ぎには眠たくなるものです。 昼寝がしたくなるのは、主に生体リズムの影響です。睡眠と覚醒のリズムには、夜に眠って朝になったら目覚めるという1日の周期(サーカディアンリズム) があります。

ほかにも、半日周期の眠気の波(サーカセミディアンリズム) があり、こちらのピークの1つが午後2~3時頃にあります。このリズムに従って眠気を減らそうとすると、眠気のピークである午後2~3時に昼寝すると効果的です。 また、この眠気のピークを予防する目的なら、正午過ぎの昼寝も役に立ちます。午後も遅い時間になってからの昼寝は、よくありません。午後三時以降に昼寝をすると、夜の睡眠に悪影響が出ます。寝つきが悪くなったり、深い睡眠が減って熟睡できなくなり、睡眠の質が悪化します。昼寝は正午から午後3時までの間にすることが、規則正しい生活と睡眠の質向上のために有効ということです。

2.長くても30分

シエスタという昼寝の文化が定着している国々では、昼寝を毎日2時間くらいとっています。しかし、日本に住む私たちが毎日2時間も昼寝することは、ほぼ不可能です。 睡眠にはリズムがあって、浅い睡眠から深い睡眠まで1クール約90分の周期が繰り返されます。浅い睡眠のときに起きれば、目覚めたあと脳の機能が早く回復しますが、深い睡眠のときに起きると寝起きが悪くなります。

寝ついてから深い睡眠になるまでの時間は、年齢とともに長くなっていきます。学生や若い世代では15~20分、中高年になると30分で深い睡眠に陥ります。この時間は、人によって違いがあり、同じ人でも疲労や睡眠不足の状態によって異なってきます。これらのことから、若い人は15~20分、中高年以降でも30分以内の昼寝が効果的です。昼寝から自然に目が覚め、すっきりと起きられる、その時間には個人差がありますから、あなたに一番合った昼寝の時間を見つけてください。

眠る前にお茶やコーヒーを飲む

眠気を覚ます簡単な方法は、コーヒーやお茶を飲むことです。昼寝のときは目が覚めてから飲むとよいと思いがちですが、本当は眠る前に飲んでおくのが最適です。コーヒーやお茶に含まれているカフェインは、口から入ったあと腸で吸収され、血液によって脳へ運ばれて初めて効果を発揮します。

口に入ってから脳に達するまでに約30分かかるので、本当に眠気を吹き飛ばしたいときの30分前にカフェインをとることが重要です。 インスタントコーヒーには1杯60mg前後、ドリップコーヒーに80~220mg前後のカフェインが含まれています。お茶には、緑茶で40~60mg、ほうじ茶で40mg、ウ一口ン茶で50mg、紅茶で60~80mgのカフェインが含まれています。 ココアやチョコレートの原料であるカカオ豆には、カフェインのほかに、よく似た作用を持つティオブロミンが、ほぼ同じ量はいっています。 カフェインに換算するとココア一杯で40mgコレートで50~60mg含まれています。 コーラやダイエットコーラにも、1缶当たり35~45mgのカフェインが含まれています。昼ご飯のときにコーラを飲んだり、食後のデザートにチョコレートを食べることは、昼寝の後にすっきり目を覚ます準備になっています。

4.椅子やソファーで目つぶる

夜、眠るときは布団やベッドに横たわって、楽な姿勢で寝ることが快眠の第一条件です。 しかし、昼寝は深く眠りすぎないことが大事です。横になって眠ると熟睡しやすいので、昼寝のときは横にならないで眠りましょう。 椅子やソファーの背にもたれかかったり、机に突っ伏した姿勢で目をつぶります。筋肉の緊張を解き、ゆっくりと呼吸してリラックスします。そのまましばらくすると、自然と眠りに入っていきます。 リラックスするために、メガネは外し、ネクタイやベルトなど体を締めつけるものは緩めます。

睡眠の環境で大事な明るさや音は、眠られる程度なら我慢しましょう。 目が覚めたときに首が痛くなったり、顔に机の跡がつかないための準備も必要です。椅子に座って眠ると、首が不安定になって痛くなることがありますが、これは「コ」の字型の居眠り専用枕で防ぐことができます。

また、机に突っ伏して眠るときにも、小さなクッションや昼寝専用枕を使うと顔に跡がつきにくく、あとで恥ずかしい思いをしなくて済みます。昼寝の達人になると、電車の中で立ったまま瞬間的に眠ることで、疲労を回復し、午後からの活動のエネルギーを得られるようになります。

目が覚めたら、すぐに光を浴びて体を動かす

目は覚めたけれども、まだボーっとしている 。20分の昼寝のあとに、昼寝の前の状態まで脳の機能が戻るには、20分かかります。この時間を少しでも切り詰めないと、昼寝の後の時間を有効に使えません。 そのためにはまず、外へ出るか、窓の近くへ行って、太陽の光を浴びましょう。強い光は、朝、起きられないタイプの不眠症の治療にも使われるほど、優れた覚醒効果を持っています。

曇の日でも屋外のほうが、室内の数倍の明るさがあります。 また、散歩やストレッチングなど、軽めの運動もしてみましょう。目が覚めた直後に体がだるいのは、体の疲れがとれていないからでなく、まだ脳が眠りから完全に覚めていないからです。運動することで全身の血液の流れがよくなり、脳へいく血液も増えて脳が目覚めてきます。 また、短時間の昼寝でも起きたときには、体温が低めになっています。 運動したりシャワーを浴びて体温を上げることは、体のエンジンのアイドリング効果もあります。

睡眠ホルモン「メラトニン」についてはこちら。

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