いつの日からか水道水がまずくなってしまった

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水道水がまずくなった

水道の蛇口をひねれば、いつでもおいしい水が出てくる。しかもその水はいつでも自由に飲める 。かつての日本では、これが常識でした。 40代以上の人なら誰でも、子供のころ公園や学校の水道の蛇口から直接、水をガブ飲みした経験があるはずです。

まずかったと覚えている人は、おそらくいないと思います。 ところが、最近の水道水はどうでしょうか。多少のどが渇いていても、蛇口から出てきた水をそのまま飲むというのは最後の手段にしたい気持ちになります。 それは、臭くてまずいからです。

その臭いと味は自然界のものではなく、とても体に悪そうな感じがします。 塩素やトリハロメタンという化学物質についての知識をもっていなくても、その臭いと味を経験すれば、「飲めない水」ということが誰にでもすぐにわかります。 日本全国の水道水の味はその地域の水系によってそれぞれ異なっていて、ひどくまずい都市も比較的おいしい都市もあることは事実です。

それでも日本の水道水全般が昔に比べてひどくまずくなってしまったことは、歴然としています。日本の水道水はなぜ、こんなにまずくなってしまったのでしょうか。

浄水の方法が変わった

水はどんな生物にとても生命の源です。もちろん、人類が登場する以前の太古の世界から地球上に存在していました。だから、地球上の生命を育んできた水は、生きものにとって無条件に「安全」で「おいしい」はずです。 各地の名水といわれる湧き水を飲むと「こんなにうまい水があるのか! 」と驚きますが、本来、水はこのようにうまいものなのです。

しかし60億もの人間が住むようになった地球、しかもその都市においては、もはや完全に純粋な状態での自然の水は望むべくもありません。 自然の水のおいしさをゼロとするなら、人類文明の発展に反比例するように、その本来の水のうまさはマイナスに加速していったのです。 それでも人間の排泄するし尿が有機肥料としてエコロジカルに循環活用されていた時代、農薬や洗浄剤などに使われる合成化学物質の蓄積が現在のように高濃度になる以前の時代には、水道水も自然に近い状態で決してまずくはありませんでした。

日本で言えば、ここ数年で急激にまずくなってきたのです。その直接的な原因は、水をきれいにする濾過方式が変さったことにあります。

急速濾過方式

急速な高度経済成長に伴って河川や湖沼には細菌や化学物質が増えました。水道という公共的なライフラインにとっては、伝染病などの危険を回避することは、おいしさよりもとりあえずは重要です。 さらに、都市部の人口がこれまでに経験したことのない早さで爆発的に増加し、人々の生活も豊かになって大きく変化してきました。

水洗トイレや全自動洗濯機などが普及し、毎週のようにマイカーを洗車する人が少なくありません。 豊かになりおしゃれになれば、美容室へ通う回数も増えます。髪の毛を染めたりパーマをかけたりする頻度も上昇します。 こうして水の需要量が飛躍的に増えてきました。

工場や家庭で大量に消費され捨てられる排水のすべては、し尿や洗剤やさまざまな有機物によって汚染されています。 自然界で分解できない(分解しきれない)物質がどんどん水源に流れこみ、溜まっていきます。もはやとても自然の水とは言えませんが、需要は時とともにうなぎ昇りですから黙って見ているわけにはいきません。

このような背景から、浄水場での水の濾過方式は変わっていきました。かつて水道水がおいしかった時代の緩速濾過方式ではまかないきれなくなって、より効率的な急速濾過方式が採用されました。 こうして水源地が汚染され、急速濾過方式に変わったことで日本の水道水は急激にまずくなり、さらに発ガン性物質を含むなど100%安全な水とは言えなくなってしまったのです。100%安全と言える水はかなりお金がかかります。