納豆のビタミンKが肝臓ガンの再発を抑制する

C型肝炎からのガンには特に有効

わが国でのC型慢性肝炎の患者さんは、肝炎症状のないキャリア(持続感染者)を含めると150万~200万人いると推測されています。年齢は40歳代以上に多く、C型肝炎ウイルス対策が講じられる以前の輸血などの医療行為による感染が背景にあることを示しています。

佐賀県は、この10数年問、全国一の肝ガン多発地域で、患者数は全国平均の約2倍にも上ります。佐賀県で最近、肝臓ガンで亡くなった人を分析すると、原因はC型肝炎が8割、B型肝炎が1割と、その多くがC型肝炎です(B型、C型とも、ウイルスが原因で起こる肝炎の一種)。

このような状況に対して佐賀県では、全県での肝検診を行うなど、肝ガン対策に積極的に取り組み、国内でもトップレベルの治療が行われています。肝ガンにまで進行させないために、C型慢性肝炎の治療としては、インターフェロン(抗ウィルス薬) をはじめとした種々の薬剤投与を行います。

また、肝臓ガンには、ラジオ波、マイクロ波を当て、発生する熟でガン細胞を殺す、エタノールを注入してガン細胞を壊し死させるというような、さまざまな最先端の治療を施しています。その結果、現在の肝臓ガンの5年生存率は、早期発見なら、70% にまでのびています。

しかし、肝臓ガンで日立つのは、再発です。肝硬変などが進行した肝臓の細胞はほとんどすべて前ガン状態といってもよく、1つのガンの芽を摘み取っても、また別のガンの芽が出現しやすいのです。

手術を終えて一度は元気に退院していった患者さんに、再びガンの宣告をするの医師の側もつらく、また患者さんのショックも想像以上のものであると思います。

そして、これまでガンの再発を防ぐのは非常に困難でした。しかし、今回、研究室では、ビタミンK2製剤による、肝臓ガンの再発予防効果を明らかにすることができました。ビタミンK2製剤は、骨粗鬆症(骨にスが入ったようになって、もろくなる病気)の治療薬として広く普及している、安全性の高い薬です。

臨床研究では、ガン患部を完全に死滅または除去させたと判断できた患者32人に対して、ビタミンK2製剤(商品名グラケー)を1日3回、食後に1錠( 15ミリグラムずつ、計45ミリグラム内服してもらい、内服しなかった29人と、ガンの再発率を比較しました。

3、4ヶ月ごとに再発の有無を調べた結果、ビタミンK2 剤を内服した患者、内服しなかった患者の再発率はそれぞれ、1年後が12.5% と51.7% 、2年後が39.1% と84.5% 、3年後が65.5% と92.2%となりました。

これらの数値を統計的に計算すると、再発の危険性が内服によって3分の1に減少していることがわかります。特に、C型肝炎から進展したガンはおよそ4分の1となっていました。

さらに、細胞を使った試験管実験では、ビタミンK2がガン細胞の増殖を抑制するという結果が得られました。

生存率が倍に!

肝臓ガンは進行してくると、門脈(胃や腸などからの血液を集めて肝臓に送る太い血管) への広がりを見せます。東大の臨床研究では、ビタミンK2 製剤を内服した60人は、ガン細胞の門脈への広がりが1年後は2% におさえられ、2年後の生存率が59% だったということです。

一方、内服しなかった60人は、ガンの門脈への広がりが1年後は21% で、2年後の生存率が29% ですから、ビタミンK剤を内服したことで、生存率が2倍に高まったということになります。

これらのことから考え併せて、肝臓ガンの進行の抑制および再発の防止に効果のあるビタミンK は、まだそうした研究結果が出ているわけではありませんが、予防の段階でも効果が期待できそうです。

ビタミンK には、緑黄色野菜に含まれるビタミンK1( フィロキノン)と、納豆や乳製品などに含まれるビタミンK2(メナキノン)の2種類があり、特にK2 は、腸内細菌の働きによって、私たちの体内でも産生されています。

肝臓ガンの予防という観点からすれば、納豆を食べたり、ビタミンKのサプリメント(栄養補助食品)を摂取したりして、ふだんからビタミンK を積極的に補給するのも有効かもしれません。

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肝臓は一部分に病変が生じて機能が低下しても、それを補う予備能力を持っているため、早期発見しにくいといわれています。「沈黙の臓器」と呼ばれるのも、悪化するまで自覚症状がないからです。

特に肝臓ガンで亡くなる人は、働きざかりの中・壮年期に多いことからも、社会に及ぼす影響は深刻です。進行してから治療を受けるよりも、「早期発見、早期治療」が、なにより大切だということを忘れてはいけません。

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