「やせる」と一致するもの

普段から少量しか食べていないのに、少しも体重が減らずにかえって体重が増えてしまうという人がいます。これはその人の基礎代謝が低下しているからです。その原因は、基礎代謝を維持するのに十分な食事をしていないことが原因です。この基礎代謝というのは、生命維持に必要なエネルギーのことです。

代謝をアップさせればやせるのでしょうか?

人間は生きていくために必要となる最低のエネルギーを毎日とらなければいけません。これは、眠っていない状態で、静かに横になって心を落ち着け、興奮しない状況のもとで、24時間で消費されるエネルギーの量のことです。つまり、生きていく上にこれだけのエネルギーは絶対に必要だというのが基礎代謝です。この基礎代謝は、その人にとってほぼ一定ですが、基礎代謝を維持するための食べ物が十分に食べられない状況のもとでは、これを低下させて身を守る働きが起きます。

 基礎代謝が下がる場合として多いのが、減食しすぎのケースです。これは、飢餓の状態といってもよいでしょう。しかし、体は生命を守るためにさまざまな働きをします。。たとえば、高齢者で、ただじっとテレビを見るくらいでほとんど動かない人がいるとします。このような人の食事の量を見ると非常に少なく、これでよく生きていけると思うほどです。食事の量が少なくなるのは、1人でいるためにあまり食欲が進まず、食べる気がしないというのが原因です。

しかし、こういう人は、基礎代謝に必要なエネルギーを割っているにもかかわらず、とにかく生きています。この場合、基礎代謝は本能的にかなり低下し、低い基礎代謝でも生命が維持できるようにコントロールされています。このような状態では、余分に活動すれば、エネルギー源になる体に蓄えてある栄養成分がたちまち減少して、生きていくことができません。

そのために、できるだけ動かない、活動しないという状態にして身を守るのです。これは必ずしも高齢者だけではありません。若い人でも起こり得ることです。

その原因としてはダイエットのために極端な減食をした場合が考えられる。ダイエットしてエネルギーが供給されないので、体は基礎代謝を低下させ、エネルギーの消費を抑えるために食べたものを消費せずに体にためていくのです。基礎代謝の低下している人は、体温を計ると低体温です。つまり、体から発散する熱が少なくなっています。しかし、肥満を防止するためには、体から十分に熱が発散し、逃げていくことが必要です。

たとえば、電気でいえば、モーターを勢いよく回転させるためにはそんなに大きな電力は必要ありません。ところが、同じ電力量でヒーターをつけたとすると、暖かさを感じられるほどの熱は出せません。つまり、エネルギーは動力として使う場合には少なくてすみますが、熱として使う場合には多量に必要になります。

そこで、肥満を防止し、また、減量を促進させようと思うならば、できるだけエネルギーを熱にして体から発散させることが必要なのです。ところがものを食べずに基礎代謝が低下してしまえば、体から出る熱が下がるので、当然ですが、あまり食べないのに、太ります。そこで、肥満しないように食べるためには、熱として消費されるエネルギーの比率を高くすることです。

それには基礎代謝を上げることです。そのために大切なのは、糖質や脂質は基礎代謝を上昇させるのにあまりプラスになりませんが、タンパク質は基礎代謝を上昇させる大きな力があるということです。したがって、食事を少なくしてもタンパク質を多く含むものを十分に食べることが必要です。また、食事を抜かないで、再々食べることも必要です。

たとえば冬の寒い日、体が震えているような状態でも、冷えたご飯を食べただけで、30分もすると、体温が上がってきます。これは「特異動的作用」と呼ばれているもので、食べ物が消化器に入ると、基礎代謝が上昇し、余分な熱が発散していくためです。

このように、空腹の状態が長く続くと、基礎代謝は低下するが、食事がきちんととられていれば、その量は少なくても体から発散する熱は大きなものとなっていきます。つまり、それだけ消費エネルギーが増加し、肥満にはつながらないということです。

動かないから食べない、というのは大きな間違いで、食べてよく動くということが必要なのです。また、食事を抜いて、その結果まとめ食いをすると、養鶏や養豚の例でもわかるように、少量の飼料で、短期間に太ってしまうことになります。これも、体を守ろうとする本能によるものです。

つまり、餓えは命に関わるから、できるだけエネルギーを体に蓄えようとします。そのため、体は代謝を低下させて、エネルギーを消費しないようにコントロールする。エネルギーを貯蔵するには、脂肪にしておくことがもっとも安定しています。そこで肥満につながるのです。そのため、食事を抜くという方法は、減量どころか、逆に食事を減らしたために肥満するという結果につながることになります。食事は、少なくとも1日に3回以上必要なのです。1回に食べる量を少なくして、総量でエネルギー摂取量を制限すると、代謝も低下せず、体に脂肪をためようとする働きも起こらないから肥満にはなりません。

つまり、食べ方がポイントなのです。なお、効率のよいエネルギー減らしには、水泳がベストです。泳げなくてもいいのです。水の中に入っているだけで多量のエネルギーが消費されます。それは、水に体の熱がどんどん取られていくからです。水は熱の効率のよい媒体です。

料理で茄でたり、煮たりするのも、水が熱の熱媒体として適しているからで、逆に、茹でたものを急速に冷やすのに水が用いられるのも同様です。体が水に浸っているだけで熱が多量に奪われるし、寒ければ、水の中を歩くことで、より多くの熱が発散されて、ダイエットにつながるというわけです。

女性の骨は35歳までに決まってしまう

若い女性の多くの関心事は「ダイエット」。年頃の女子に細くてかっこいいモデルの体型はあこがれの的になってしまっても仕方ない面があります。ダイエットというのは、本来、管理された食事という意味ですが、日本では、やせるという意味で使われることが多くなっています。

とくに女性の場合、すらり、ほっそりとしたプロポーションを目指してダイエットする人が増えており、痩せすぎの人も多く見られます。しかも、ダイエットする年齢がだんだん若くなり、最近では、小学校の高学年でダイエットをしている子どももいるようで驚かされてしまいます。

これは、子どもの成長にとって大変な問題で、各種の身体的な問題が出てくるから、気をつけなければなりません。体重がその人にとって多すぎる場合、たしかにダイエットは必要です。しかし、無理なダイエットをすることは健康に対して決してプラスではなく、マイナスの方が大きいのです。

通常、健康を維持できる体重減少は、1ヶ月に2キログラム程度とされています。言月に4キログラム以上の体重減少を行なうと、必ず体に故障が起こるといってよい。まかり間違えば、疾病につながることもあるでしょう。では1ヶ月に2キロ以上の減量を行なった場合、どのような影響が出てくるのでしょうか。

まず、初期症状としては、無気力感を覚えるようになます。何をするのにも体が重いといったような、けだるさを感じます。これは、すでに体に異状をきたしている証拠です。したがって、この状況が続けば、体がもちこたえられなくなるのは当然です。

また、それまで隠れていた病気をひき起こす要因が、無理なダイエットをきっかけに表に出てくることもあるでしょう。ところで、無理なダイエットをすると、タンパク質など重要な栄養素が摂取不足になり、その結果、女性の場合、生理が止まってしまうこともあります。

生理が止まると、予想しなかっその1つが、骨からカルシウムが抜けていく「骨粗鬆症」ですこれは、女性特萄の環象で、とくに、女性ホルモンの黄体ホルモンと関係の深いことがわかっている。閉経後の更年期から起こりやすいといわれているが、若くても、生理が止まったせいで、女性ホルモンの分泌が異状をきたすと、急速に骨からカルシウムが抜けていき、骨がすかすかの状態になります。

このような状態でちょっと無理な力がかかると、骨折が起きやすくなりますしかも、骨のカルシウム密度が低くなっているために、なかなか骨がつながらないといったこともあるかもしれません。この骨粗鬆症が若い年代で起こると、一生その病害を背負っていかねばなりません。その理由は、骨へのカルシウム沈着量は、35歳までが上昇の時期で、それ以上の年齢になると、骨のカルシウムは減少の方向をたどるから。

もし、35歳より下の年齢で骨粗鬆症が起こると、骨に対するカルシウムの蓄積量が不十分であるから、その状態で一生を過ごすことになってしまいます。さらに、35歳を過ぎてから、骨のカルシウムが減少しはじめると、通常の人にくらべて大幅なカルシウム不足になります。

したがって、若い間に骨粗鬆症を起こした人は35歳以上になると、骨に対する障害がいろいろ出てくることになる。若いときには、必要なタンパク質など栄養素を十分とるとともに、無理なダイエットをしないことが大切です。そして、同時にカルシウムの多い食品で、カルシウムを十分に骨に蓄積しておくことが大事です。また、その際に、カルシウムの吸収と骨への沈着に重要な働きをするビタミンDも十分にとっておくことが大切である。ビタミンDは主としてサケ、ニシンなど北の海の魚や日光乾燥のシイタケ、キクラゲに多く含まれています。

さまざまな不調があらわれる更年期障害(症状・原因・治療)