かつてアメリカで人気の心理学雑誌 「 サイコロジー・トゥデイ 」 は、女性の15 %、男性の11 % が「望みの体重になれるのなら、引き換えに寿命が5年縮まってもいいと答えた」という調査結果を報告しました。
強い「 ダイエット 願望 」は正常な判断ができない
日本で調査してもほぼ同じ結果が得られるでしょう。それほど ダイエット 願望 は強い、ということですが、 「 痩せる 」 を売り物にした サプリ や 「 痩せるお茶 」 が大流行し、その度に健康被害を出してきました。
- 飲むだけでやせられる
- 食事制限なし
- 努力なしでダイエットができる
- 漢方ダイエットだから、安全
これは、今から16年前の2005 年に流行した 「 天天素 」 という中国製の ダイエット 食品 のキャッチフレーズです。 天天素 でなくとも、これに似たキャッチフレーズのついたサプリは危険だから、購入も服用もしないのが賢いでしょう。
日本での 「 天天素 」 による健康被害は、2006年7月12 日までに123件に達した。おもな副作用は
- めまい
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- 頭痛
- 動悸
など比較的軽いものでしたがが、都内に住む女性が1人死亡しています。 「 天天素 」 なる サプリ にはいったい何が含まれているのでしょうか?。
化学分析の結果、 食欲抑制薬 で 向精神薬 の 「 マジンドール 」 や、わが国では承認されていない肥満症治療薬の 「 シブトラミン 」 などの医薬品成分が検出されました。
どちらもサプリに含まれているはずのない医薬品成分です。本物の 肥満治療薬 をこっそり混入させていたのだから、 「 天天素 」 が効くのは当然です。
しかし、違法です。違法性以上にいけないのは、このようなサプリを製造・販売する業者は、まったく信用できないという点にあります。つまり、違法なサプリには、これ以外にもどんな有害物質が含まれているかわかったものではないのです。
「より健康に」なるはずもなく、もし飲んで健康を害さなかったら、幸運と思ったほうがよいくらいです。
天天素
- 主成分
-
- マジンドール
- シプトラミン
- 効能
- 食欲を抑制し(マジンドール)、血圧を下げる(シプトラミン)
- 副作用
-
- めまい
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
- 動悸
- 依存症
- 注意
- 違法な成分による死者もでた。他に商品名 「 メリディア 」にも シプトラミン が混入
混入されていた薬の副作用
マジンドール は 食欲抑制薬 です。日本では、食事療法や運動療法で効果のあがらなかった BMI 35 以上の高度肥満者だけに適用が認められています。最近はおなじみになった BMI というのは、BMI ( Body Mass Index )はボディマス指数と呼ばれ、体重と身長から算出される肥満度を表す体格指数です。
薬には副作用がつきものです。 マジンドール の副作用は、便秘、口の渇き、過敏症で
わりと軽いのですが、 依存性 があってやめられなくなるから恐いのです。しかも、 マジンドール の服用量には上限があり、成人では 1 日 1 回 0.5mg、最高で 1 日 1.5 mg でとなっています。しかし、天天素 1 カプセルから 1.4 mg ものマジ
ンドールが検出されました。すぐに依存症になってしまうでしょう。
一方、 シプトラミン はアメリカで処方されている肥満症の治療薬で、その副作用は
頭痛、口の渇き、便秘、不眠など。しかも心拍数を増やし、血圧を上げます。このこと
は シプトラミン の添付文書には必ず明記されます。だから、知らないで飲んだら、人によっては心臓発作や脳卒中でいっきに死亡してしまいます。
じつは、 シプトラミン を主成分とする肥満症の治療薬が 「 メリディア 」 ですが、この薬の服用によってアメリカで 2005 年 12 月までに 28 人が死亡しています。このため、アメリカの消費者団体から FDA ( 米国食品医薬品局 ) に対して、使用禁止の措置をとるよう嘆願書が提出されているのです。
心臓弁に異常が発生する
中国製のダイエット用 サプリ による健康被害は 「 天天素 」 がはじめてではないのです。 「 天天素 」 に似たダイエット食品は過去に2度も、中国本土、アジア諸国、そして日本で大ブームを巻き起こした経緯があります。
最初のブームは1996年に輸入された中国茶 「 減肥茶 」 です。 「 減肥茶 」 には食欲抑制薬フエンフルラミンが混入していることが確認されて、いっきにブームは去りました。要するに、 「 減肥茶 」 が効いて痩せたのではなく、 フェンフルラミン によって食べる量が減ったから痩せたのです。
くり返される 食欲抑制薬 の混入
さらに 6 年後の2002年、中国製の 「 痩せるお茶 」 に次のブームが起こりました。そして、服用者に肝障害が相次いで発生しました。日本だけで被害者は約 800 人に達し、4人もの死者が出ました。
まもなく肝障害の原因は、 「 痩せるお茶 」 から高濃度(約3%) で検出された、 N-ニトロソーフェンフルラミン であることが明らかとなりました。この物質は、 フェンフルラミン に亜硝酸を反応させるとできる。 N - ニトロソ化合物 にすることで、医薬品として監視対象になっています
フェンフルラミン が入っているのを隠そうとしたことは明白です。しかも、N - ニトロソ化合物 は発がん性があるから、騙されて服用した人は、将来、がんになる可能性まであるのです
。N-ニトロソーフェンフルラミン を含んでいた中国製痩せ茶の代表はつぎのとおり。「御芝堂減肥膠嚢」「繊之素膠嚢」「御芝堂清脂素」「オロチンチャス」= 「茶素膠嚢」。二度あることは三度あるというが、中国発の「痩せるお茶」の三度めの被害が2 00 5 年の「天天素」であった。近い将来、四度めの流行があるかもしれない。読者は、「痩せる」を売り物にした中国製サプリや「痩せるお茶」には決して手を出さないよう心がけるべきである。
N-ニトロソーフェンフルラミン を含む中国製痩せ茶は、次のとおりです。
- 御芝堂減肥膠嚢
- 繊之素膠嚢
- 御芝堂清脂素
- オロチンチャス
日本の トクホ イサゴール なら安心です。