「水道水」と一致するもの

人の体は6~7割も水で出来ているというのに化粧品や健康食品にはお金をかけても水に対して無頓着な人が多いのはなぜでしょう?もう少し現代の水道事情に目を向けてみたらどうでしょう?というちょっとお節介なブログ。真実を知るとぞっとしてしまう。 [PR]今さら聞けないミネラルウォーターの知識

マンションの水道水がいかに汚染されているか?

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水道水から泥水が出ることも!

水道水はたしかにまずくなりました。ですが、マンションの水に比べれば、一戸建てはまだマシという声がたくさん聞こえてきます。 たしかに、マンションの水はまずい、ひどいという意見は多いようです。

設計士のA さんは、東京の都心の大型マンションに小さな部屋を借りています。6 畳1間のワンルームで、簡単なキッチンとユニット形式のバストイレが付いている部屋ですが、あまりの水のひどさに引越しを考えていると嘆いています。 「都心の大型マンションですから、もちろん、最初から水道水なんて飲めないと思っていましたよ。実際、すぐにマイクロフィルター付きの浄水器を設置したんです。でも、フィルターもカートリッジもすぐにダメになっちゃう。それほど汚いのかなと思っていたんですが、そのうちにこんなことが起きたのです。

仕事で事務所に泊り込んだときのこと。夜中に風呂に入ろうと思ってバスタブにお湯を張ったんです。勢い良くお湯を出して、もう溜まったかなとのぞいてみると、なんとお湯が泥水のようにまっ黒! 管理人さんに見てもらおうと思ってそのままにしておいたんですが、翌日には泥や砂のようなものがバスタブの下に沈澱していました。

私が『まさか、この水がキッチンにも出てきていたんじゃないですよネ』とおそるおそる聞いてみると、『いやみんな一緒ですよ... 』と管理人さんも困ったような済まなそうな顔をしていました。水道水をそのまま飲む人はいないだろうけど、これではいかにも体に悪そうです。

浄水器を付けていくら浄水してもキリがない。ひどすぎると思って、引っ越したいんですよ...」

マンションの水は使えない

マンションの水がまずいのは、給水管から送られてきた水道水を屋上などに置いた貯水槽に溜めて、そこからマンション各戸に供給しているからです。高層マンションの最上階でも変わりなく水が勢い良く出るのは、このためです。 したがって、マンションの水がまずいとか、A さんのように泥が混じったなどという苦情を水道局へ寄せても、水道局ではマンションの貯水槽に入るときの水(給水管から出た水)までしか責任をもつことはできません。 貯水槽の管理については、しよせん「よそ者」でしかないのです。住民にできることは、まずマンション所有者や管理責任者に貯水槽の管理状況についてたずねることです。

その回答に納得がいかなければ、マンションの貯水槽がある場所を教えてもらい、実際に見て、その管理状態をチェックすべきです。 それがもしひどい状態であれば、管理組合などを通じて清掃や修理を求めます。水質に関しては、保健所に相談してみるのも1つの方法でしょう。

法的には、10立法メートル以上の大型貯水槽をもつマンションやビルについては、年に1回以上の清掃と検査が義務付けられ、違反すれば罰金が科せられることになっています。 それ以下の小型貯水槽に関しては法的規制はまったくありません。20世帯規模以下のマンションなら小型貯水槽でまかなえますから、多くのマンションの水道水が、いわば無法地帯にあるような状況なのです。 それでも苦情が大きく広がったり、実際に健康を害したりという問題が多発したのは、A さんのように、そもそもマンションの水はひどいものとあきらめて浄水器や清水器を最初から取り付けて使っている人が大多数だからでしょう。 生命体である人間は、やはり水に対しては非常に敏感なのです。マンションの自主的な管理のずさんさや法的な環境の不整備は、そうした住民一人一人の高い意識によりかかっていると指摘されても仕方ないでしょう。

給水パイプの問題

マンションの水道水を飲むと、特にひどい悪臭を感じることがあります。これは、貯水槽に光が入っている証拠であると専門家はいいます。 「天気のよい日にタンクの内をのぞいてみれば、ほのかに明るいことがわかるはずです。たとえわずかでも光が入ったら、藻は繁殖するのです。(貯水槽の)材質のF R P (繊維強化プラスチック) が、わずかながら光を通すからです。タンクの外側を鉄板で包むか、光を通さない材質のタンクと取り替える必要があります」 もっと重大で根本的に解決困難な問題が、タンクから各部屋に排水するパイプにあると指摘しています。

「ビルやマンションでは亜鉛引き鋼管を使っているのが一般的です。このパイプは安価なため建築費用を安く上げるにはもってこいなのですが、耐久性に欠陥を抱えているのです。 最近の水道水には亜鉛や鉄を簡単に溶かしてしまう性質があり、まずパイプの表面の亜鉛が溶け出してきます」

こうして5年ほどたって水道管パイプ表面の亜鉛が「洗い流されて」しまったら、次に出てくるのは鉄です。「鉄なら健康に良い」というのは大間違いで、むきだしになった鉄管はすぐに錆びつき、赤い水が出るようになるのです。ステンレス管などを使えばこのようなことはないのですが、建築費の関係でなかなか普及しないそうです。ましてすでに建築されたマンションのパイプは、コンクリートを壊さなければできないため不可能ということです。

こんなことを考えると飲み水だけは超キレイな水で体に害のないモノを選びたくなって当然です。特に都会の人ならなおさら。
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浄水場の濾過と消毒をかわす原虫の恐怖

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40万人の集団下痢の原因が水道水

1993 年のことでした。アメリカのミシガン湖畔のミルウォーキー市で、40万人もの市民がいっせいにクリプトスポリジウムという原虫に集団感染し、ひどい下痢におそわれたのです。ミルウォーキーは人口160万人の都市ですから、実に4人に1人がこの寄生虫に感染したことになります。

そのうち入院するほどの重症が4万人、そして結果的には400名の死者を出すほどの大惨事となりました。原因は、安全であるはずの水道水でした。水道水からクリプトスポリジウムの胞子が発見されたのです。 クリプトスポリジウムは、ほ乳類の小腸にはふつうに存在する寄生虫ですが、人間の口から腸内に入り込むと、1日に何十回も水様便を繰り返すほどの激しい下痢を起こします。 抗生物質も下痢止めも効かず治療法はありませんが、自然治癒力をもった健康な成人なら長くても2 週間ほどで自然に回復します。 ただし、病気や老化によって免疫力が劣った状態では、感染は生命の危険も引き起こします。 公共の水道水にこのような危険な寄生虫が混入し、4人に1人もの感染者を出してしまうことに驚きますが、このような事故は最近では特に例外的な出来事とは言えなくなっているようです。

日本では1996年6月、埼玉県越生町で同じようにクリプトスポリジウムの集団感染が起きました。幸い死亡者は出ませんでしたが、人口1万4000人のぅち半分以上にも及ぶ8800名以上に発病する事態になりました。 これも、水道水が感染媒体となった結果でした。水道水に病原となる要因が侵入することは、このように無差別の大量感染につながります。病人も乳幼児も老人も、区別ありません。クリプトスポリジウムの感染は死亡にいたることはまれとはいえ、そうしたことが絶対に起こらないはずの文明国の水道でこのような事態が発生することは非常に恐いことです。塩素による消毒は、いったいどうなっていたのでしょうか。

塩素では効かないクリフトスポリジウム

ミルウォーキーの大事件は、各国の水道関係者に大きなショックを与えました。絶対に起こつてはならないことが、水道の安全性では先進国のアメリカの、しかも大都市で発生したからです。 以来、急速濾過方式と塩素による浄水を行っている先進国では、それぞれの浄水場の調査が盛んに行われました。 そしてその結果、驚くべきことに、クリプトスポリジウムの胞子の存在は原水から家庭の蛇口までの過程において必ずしも「絶対に混入していない存在」ではないことがわかってきたのです。

19977年4月にはロンドン北部で、約30万人を対象に水道水の煮沸勧告が出されました。日本では同年6月、千葉県鋸南町で、水道水の原水から、ついで水道水自体からクリプトスポリジウムが見つかりました。続いて東京都青梅市や神奈川県藤野町でも、原水から同様の寄生虫が検出されました。 大阪市立大学の井関基弘助教授は、日本経済新聞の取材に対して「クリプトスポリジウムは今や先進国共通の課題だ」とまで述べています。 それはなぜなら、安全性の切り札として使われている塩素でも、クリプトスポリジウムは死滅しないからなのです。

クリプトスポリジウムは卵子虫網、真コクシジウム目、クリプトスポリジウム科に属する単細胞の寄生虫です。 この原虫は動物やヒトの腸管ではスポロゾイトと呼ばれる虫の状態で分裂増殖を繰り返し、その一部は体内で有性生殖によってオーシストと呼ばれる卵のようなものを作ります。このオーシストは糞便と一緒に体外に排泄され、また別の動物の腸管でスポロゾイトとして増殖を繰り返し、感染源となるわけです。 感染したヒトや動物の下痢便のなかには、1 日に数億以上ものオーシストが含まれることもあります。もちろん、たった一匹の動物についてです。都会には野生動物が少なくなっているとはいえ、もし感染動物が存在すれば、水道水の原水に入り込む可能性は、非常に高くなります。

しかも、このオーシストは硬い殻におおわれているため、塩素の強い殺菌力もものともしません。 一説では大腸菌の約69万倍もの塩素抵抗性があるといわれるほどで、浄水場の塩素殺菌など軽く通り過ぎてしまいます。そして水道水に混入した原虫のオーシストは、ヒトが1個でも飲み込めば発病する可能性があるのです。殻に防護されて忍び込むようにして水道水に混入されれば、数十万人単位の爆発的な感染が引き起こされても不思議ではありません。

対処法

水道水の原水に1滴の下水も入り込まないようにすることは、現代社会の状況を考えると不可能と言えるでしょう。 そうなれば、各浄水場で給水する前にしっかりと検査されることが求められます。現在、すべての水道事業者は自主検査を行い、原虫の混入がないことを確認したうえで給水を行っていることになっています。また、多くの地方自治体でも原水における原虫検査を行い、その汚染を監視しています。厚生省(当時) も、平成9年10月に「クリプトスポリジウム等原虫類総合対策について」という指針を発表し、水道安全対策の強化を推進しています。 しかし原水の汚染が将来もますます進む一方である状況で、水道水に混入する叩かもしれない原虫( クリプトスポリジウム) の恐怖は完全に消えてなくなることはむずかしいでしょう。

濾過方式をかつての緩速方式に戻す、あるいはマイクロフィルターでさえぎる膜処理(越生町での対処法) をすべての浄水場に導入するというような方法をとれば、原虫が水道水に混入することはなぐなります。 しかし、いずれも全国で完全に実施するのは現実的ではありません。っまり原虫に関しても、水道水に混入する恐れが完全にないわけではない、という結論になってしまいます。 その確率は現在ではそう高いものではないにしても、これからはさらに注意が必要になってくるでしょう。やはり、蛇口まで供給された水をどう飲むかは、それぞれの家庭に任されているのです。

クリプトスポリジウムは塩素でも死にませんが、乾燥(1 ~4 日)、凍結( マイナス20℃ で30分)、熟(73℃ で1分) によって死滅します。したがって、家庭で行ぅことができる最も簡単な対処法としては沸騰させてから使うということになります。とにかく生の水道水は口にしないほうが懸命といえるでしょう。

水道水の有害物質除去は家庭の問題

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流産率9.5%と15.7%という数字の違いをどのように考えるのかは、それぞれの判断になります。それが本当にトリハロメタン類による上昇であるならば問題は必ずしも流産だけでなく、催奇形性や発ガン性、あるいはさまざまな症状の悪化というような影響も否定できません。

できるだけきれいな水を選ぶ | 生活防衛マニュアルと環境ホルモンについて考えるによれば

塩素の問題としては、塩素の危険性と発ガン物質のトリハロメタンです。トリハロメタンは、塩素と原水中の有機物のフミン質とが反応してできる有機塩素化合物。クロロホルム、プロモジクロメタンなどを総称してトリハロメタンと呼んでいますが、そのほかに遺伝子に突然変異を起こす物質のあるものも含まれています。 トリハロメタンはろ過しても取り除くことが不可能で水道水にも微量に含まれています。水道水は発ガン物質が入っているものを毎日飲んでいることになります。 トリハロメタンが恐ろしいのは、ガンを誘発する以外に人間の体の脂肪に溶けやすいことです。妊娠している女性であれば、胎盤を通してお腹の中にいる赤ちゃんにトリハロメタンが蓄積されてしまうのです。

したがって「恐ろしい」と感じる人もいるでしょう。一方、トリハロメタンによるガンの危険性は現代社会のさまざまな危険性、たとえば交通事故の危険性に比べれば小さいものですから、それを考えれば目をつぶっても差し支えないと判断することもできるかもしれません。しかし、水や空気といった生命の基本を司る重要な物質が「必ずしも100%安全でない」ということには、交通事故や航空機事故による偶発的な1回の危険性の確率とは別の問題があるはずです。

そのような水や空気を継続してとり続けることによって、人間の体が「目に見えない着実な変化」を受けてしまうことは大いにありうることです。 「ガンになってしまった」とカウントされることがなくても、「トリハロメタンのせい」とは特定できないレベルで、水道水のトリハロメタンが非常に多くの人々に悪影響を及ぼしていることは充分に考えられます。

頭痛、冷え症、肩こり、イライラ、不眠、便秘など...現代人にはさまざまな症状がつきまとっています。またアトピー性皮膚炎、ぜんそく、花粉症など、おそろしいほどの勢いでアレルギー性疾患が急増しています。 そうした原因を特定できない現代病は、個々の毎日同じように続けられる生活習慣によって引き起こされていると言われるのです。そうした状況のなかで、どんどん悪なっていく水や空気を少しでも改善しよぅと考えることは、家族や自分の健康管理に必ずなんらかのプラスになるはずです。

蛇口から出てくる水道水を飲んでガンになる確率は交通事故で死ぬ確率より断然低いからといって、そのまま水道水を飲む現代人はもはや少数派でしょう。れほど水や空気という基本的なものの質が、私たちの日常的な健康を左右しているということが、多くの人々にとって体で実感されているのだと思われます。

沸騰させるとよけいに危険物質が増えるの

最近は生活習慣のなかに現代病の問題点があるということを理解して、その人なりに生活の改善を考える人がふえてきました。 タバコを吸わない人がふえたのも、そんなトレンドの一側面といえるでしょう。禁煙外来もずいぶんあちこちの病院で実施されています。

水道水が決して安全ではないということも、すでに日本では常識となりつつあります。都会の人はマンションの水を飲まない人も増えています。水道水に含まれるトリハロメタンが危ないという知識と、実際にひと口飲んだときのまずさがあいまって、「これはたしかに体に悪そうだ」という実感のこもった常識に定着しているのです。

糖尿病、アレルギー性疾患、ガンなど、病院で簡単には完治しない病気がふえている現在、人々が最先端の正しい健康情報を知り、自分の生活で実践することは、これからもますます重要になっていきます。なぜなら、生活習慣の改善による予防こそ、現代病の最大の武器となるからです。

ただし、常識のなかには時にウソがあったり、あるいは間違って伝えられてひとり歩きしてしまうものもあります。 テレビのスイッチを押せば健康情報が伝えられるような時代では、そうした常識の落とし穴に注意しなければならないことが多々あります。ネットによる情報社会は、誰かの思惑の中で情報が操作されてしまっているケースもあります。

「水道水のトリハロメタンは沸騰させれば消えるので、沸かしたものを冷やして使えばまったく問題ない」という知恵は、トリハロメタンの危険性とともによく知られているはずです。 しかし、それを信じて水道水を沸騰させて活用している人のなかには、かえってトリハロメタンをふやして飲んでいるケースもあることをご存じでしょうか。

塩素と有機物が反応してできるトリハロメタンは、たしかに沸騰させれば塩素とともに空気中に蒸発してしまいます。 しかし、そのためには、数分間は沸騰させつづけなければなりません。しかし「沸騰させればOK」と覚えている人の多くは、沸騰したとたん火を止めてしまいます。

これではかえってトリハロメタンがふえている危険が高いのです。特に、沸騰した湯気で笛の鳴る方式のヤカンだと、うるさいので沸騰直前で火を止めてしまい、最もトリハロメタン値が高いところで利用するということになりかねません。 トリハロメタンは塩素と水中の有機物が反応してできる物質ですが、その反応は水の温度が上がるほど速くなります。

このため、沸騰したての水道水は、蛇口から出てきたときよりさらに多くのトリハロメタンを含んでしまうことになります。沸騰させた水道水はカルキ臭は消えるとしても、無色透明で無味無臭のトリハロメタンの濃度はかえって上がっている可能性があるのです。

体に取り入れる水をすべて10分間も沸騰させなければいけないのは大変かもしれませんが、もしトリハロメタンを少なくするために沸騰させるというのであればどうしても必要なことです。沸騰してすぐでは、かえって逆効果になるということは覚えておかなければなりません。

高度浄水処理

水道水のトリハロメタンを消すには、活性炭を通すという方法も有効です。備長炭を入れておくとおいしい水になるのは、備長炭の内部にびっしりと開いている超微細孔が塩素やトリハロメタンや残留農薬などを分解・吸着してくれるからです。 良質の備長炭があれば、一昼夜水道水につけておくだけで家庭でも簡単においしい水をつくることができます。

ただし、毎日の生活のなかで料理や飲料として使う水は意外に膨大な量にのぼるので、すべてを備長炭で無毒化して使うには浄化専用のタンクやボトルが必要になります。 また、決して安いとは言えない備長炭を適度に交換することも必要になりますから、もちろんそれなりのコストもかかってしまいます。

いちばん簡単なのは品質の良い浄水器を付けることですが、これもある程度のコストはかかります。 最近は数千円くらいの簡易浄水器も多く出回っていますが、濾過機能がすぐに低下してしまい、有害物質が除去できないばかりか、かえって微生物に汚染された水にして飲んでいた、というような詰もあとを絶ちません。

浄水器をとりつけるなら、カートリッジの寿命の長い、信頼できるものを選ぶことが必要になります。 最近、特に人気なのは、ピッチャー型浄水器です。 現在の水道水は、汚染されつづける水源から最低限公共的に安全な状態に浄水したものが供給されているわけですが、実際にはいくら飲んでも安全というようなものではありません。

10分ほど沸騰させる、活性炭を通す、あるいは浄水器を使うなど、その先に必要な処理があるということは事実なのです。しかし、これからは変わっていく可能性もないことはありません。 急速濾過方式によってできる、まずくて安全とはいえない水道水を、さらに高度処理してから供給するような取り組みが実際に行われているのです。

高度処理とは、オゾン処理・生物処理・活性炭処理などによって水の臭みや化学物質を除去するもので、これを行ってから供給される水道水は非常においしくなります。 かつて東京の金町浄水場は「水がまずい」という苦情が殺到していましたが、この高度処理が行われるようになってからは非常においしく安全な水になりました。悪評高い琵琶湖を水源とする大阪府宮水道局でも、同じような高度浄水処理が行われています。ただこのような水道水の高度処理はコストがかかるので、これを公共的な水供給という水道の浄水にすべて採用するかどうかは、なかなか難しい問題があります。水道料金が跳ね上がるからです。

いくら豊かな時代になったとはいっても、水道水がミネラルウォーターと同じくらの値段になってしまうのは大きな問題もでてきます。 それでも、いまテレビ放送でお金を払って番組を供給してもらうような有料テレビ方式が出てきたように、将来は水道水も望む人がお金を払って安全でおいしい水を供給してもらうように選択できる時代がくるかもしれません。

水道事業が民営化されているイギリスヤフランスでは、塩素をまったく使わないオゾン処理による浄水化が長い歴史を持ち、広く行われています。そして、個々に契約した家庭に供給しているのです。 塩素処理に比べ、オゾン処理の方が有害物の生成量がはるかに少ないのです。塩素で水道水を消毒する方法はアメリカからきたもので、ヨーロッパではオゾンを使った方法が多く採用されていますし、アメリカでもオゾンの利用が増加しています。

今後、我が国でも人体や環境に村する塩素の有害性の認識がさらに高まってくれば、塩素消毒からオゾン消毒にとって代わることになるでしょうが、まだまだその見通しはたっていないようです。日本やアメリカでは、その前に家庭用の性能の良い浄水器が普及しっつあり、新築マンションなどでは最初から浄水システムが建築物に備えられていることも珍しくなくなりました。蛇口から出たあとの処理は個々の家庭に任せるしかない日本の状況では、浄水器や活水器の品質的な向上と普及によるコストダウンの連鎖反応は必然的な傾向だったと言えるでしょう。

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水道水に必ず含まれる発ガン物質

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塩素の添加で発生するトリハロメタン

水道水にはトリハロメタンという発ガン物質が含まれている...というのは、誰もが一度は耳にしたことのある、センセーショナルな情報です。トリハロメタンは大量に摂取するとガン細胞を誘発するだけでなく、中枢機能低下、肝臓・腎臓障害、催奇形性を引き起すと言われている恐ろしい化学物質です。

でも多くの日本人は「それは特別なケースで、まさか自分の家の水道水には入ってないだろう」、あるいは「入っていたとしても微量で問題ない程度だろう」などと考えているのではないでしょうか? しかしそれは大きな間違いです。前出の東京都水道局OBは、『水道水』「塩素のもたらす害の中でもっとも重要なのは、発ガン物質であるトリハロメタンを作り出してしまうことです。

現在の日本では、ほとんどの水道水に多かれ少なかれトリハロメタンが入っています。水道水が100%安全といいきれない理由の一つは、ここにあるのです」日本の水道水にある程度のトリハロメタンが必ずと言ってよいほど含まれてしまうのは、トリハロメタンは水中の有機物が塩素と出合って反応することによって発生する物質だからです。

日本の水道水はほとんどすべてが、塩素を二度にわたり投入する急速濾過方式によって浄水した水ですし、水道法によって蛇口から出る水には塩素が含まれていなければならないことが決められています。塩素による消毒は、現在では衛生を保つ意味で欠かせません。

源水の汚染も問題

それなら水源の有機物のほうをなくすことはできないのでしょうか。塩素による消毒を行っても、水源の水が化学物質や有機物を含まなければ、水道水の危険度はグンと下がりますしカルキ臭もなくなります。 旅行先で「水道水がおいしい」と感じることがありますが、これはその地域の水源が比較的きれいに保たれているためで、そうした地域でも塩素が同様に使われていることには変わりありません。

しかし、家庭排水やし尿が河川に混入するのを避けることは、いまや不可能です。 人間による排水の混入しない自然の水系のなかにも有機物は存在しますが、それはさまざまな微生物によって分解されてなくなる程度のものでした。 しかし、循環系の自然環境が非常にあやふやになっている現在の都市周辺では、それもまた夢でしょう。かつて緩速濾過方式では微生物の力を借りてじっくりと有機物が分解されていましたが、現在何百万人もの人々のために毎日水を供給する急速濾過方式では、浄水はさっさと終わらせなければなりません。

急速濾過方式では、塩素と反応してトリハロメタンを発生させるアンモニアなどの有機物質を除去することはできません。結局トリハロメタンと呼ばれる化学物質の仲間は、程度の差こそあれ、日本の水道の蛇口から出てくる水に必ず含まれてしまうということは、今の状況では宿命と考えるしかないのです

ますます高まるトリハロメタンの危険性と恐怖

水道水に含まれるトリハロメタンの恐ろしさが最初に指摘されたのは、1974年頃のことでした。アメリカの博士は、「塩素と有機物の化合物クロロホルム(トリハロメタンの一種)を含む水道水を飲んでいる人は、地下水を飲んでいる人に比べ、ガンで死亡する確率が10万人につき3人も多い」 と、水道水の危険性についてはじめて警鐘を鳴らしました。

このレポートに敏感に反応した米環境保護庁(EPA) は、全米113都市の水道水を調査して、広範囲の都市の水道に高濃度のトリハロメタンが含まれていることを確認しました。 この調査を重要視した結果、アメリカでは4年彼の1978年には水道水のトリハロメタン類の総量を100ppb(1 リットル中に0.1mg) 以下に規制する法律が制定され、ヨーロッパ各国もこの措置にならって次々に規制が行われたのです。 しかし、日本ではこの種の規制はなかなか迅速に行われませんでした。生活環境のなかで簡単に発生する猛毒・ダイオキシンについても同様でした。トリハロメタンが日本で欧米同様に100ppb に規制されたのは、1981年(昭和56年) のことでした。

しかし、それで危険だった水道水が安全になったわけでは当然ありません。 ハリス博士によれば、トリハロメタンは40ppb で10万人に1人はガンになります。「10万人に1人なら大したことないじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、これは単に人がガンになる確率ではなく、本来はガンにならない人がガンになるという確率ですから、公共的に供給される水道水の危険度としては非常に大きいと言われなければなりません。 40ppb のトリハロメタンが含まれる水道水を安全だと思って、そのまますべての日本人がごくごく飲んでいたら、水道水のせいで1200人もの人がガンになる、という状況なのです。

その上で100 ppb が規制値である、ということは覚えておかなければなりません。欧米では、将来はこれを10~25 ppb に下げる目標をたて、さらに最終的には塩素消毒をやめることを目指して、とりあえず現実的な対処法として1 00 ppbという数値を出しています。しかし日本ではこうした将来目標もなく、これからますます塩素消毒の必要性と水質汚染がエスカレートするなかで、専門家のあいだでも大いに心配されています。

流産の危険性が大きい

トリハロメタンには発ガン性があり、さらに中枢神経、肝臓、腎臓といった、生命活動を支える重大な器官にダメージを与えます。 しかし水道水に含まれる程度のトリハロメタンを日常的に体内に取り入れた場合、このような最終的な大病にいたる前に、日常生活のなかでさまざまな不特定な症状が現れてくると考えられています。 最近の新しい住宅には、壁紙や合板などに使用される接着剤などからトリハロメタンと同様に有害な有機化合物が発生し、そこに住む家族の健康を知らず知らずのうちに蝕むという「シックハウス」の問題があります。 念願のマイホームを手に入れて夢の生活が始まったと思ったら家族の頭痛・吐き気・皮膚炎・ゼンソクなどがひどくなり、その原因が汚染された新築家屋の「空気」だったというのです。このようなシックハウス症候群は、勤めに出るお父さんより家にいる時間の多い主婦や子供たちに多いと言われています。

「空気」という常に体に取り入れている当たり前の必要な物質には、たとえ微量の有害化学物質が含まれていても、毎日の積み重ねのなかで必ず体に悪い影響を及ぼすということなのです。 水の問題も、このシックハウス症候群の空気の問題とまったく同様と言えます。実験や調査で「問題ない」とされたレベルの濃度でも、少量でも必ず含まれるトリハロメタン類を摂取しっづければ、たとえガンや肝臓病といった生死を分けるような重大な病気にならなくとも、たとえばアトピー性体質の子は皮膚が痺くなったりゼンソクが悪化したり、集中力がなくなる、疲れやすい、イライラするといった不特定な症状を引き起こしている重大な要因の1つになっていきます。

日常的に摂取する水の安全性はもっと厳しく考えるべきだということは、アメリカで行われた調査報告も裏付けています。カリフォルニア州健康局が健康影響に関する調査を行ったところ、たとえ基準値内であっても、トリハロメタンを含む水道水をたくさん飲んだ場合には流産の危険性が高くなる、というショッキングな結果が出ました。 米環境保護庁(EPA) の助成のもとに行われたこの調査では、民間の大規模医療機関の協力を得て5 14 4名の妊婦を村象に、水道水に含まれるトリハロメタンの量および水道水の摂取量が、流産とどのような関係にあるかが調べられました。 その結果、妊娠初期の妊婦がトリハロメタン濃度が75ppb を超える水道水を1 日コップ5 杯以上飲んでいた場合、流産率は15.7%にものぼりました(1日コップ5 杯未満、あるいは75 ppb以下の場合は9.5%)。 現在アメリカでもトリハロメタンの水道水に含まれる基準値は100ppb ですから、75 ppb は基準内の( 言うなれば折紙つきの水) であるはずです。

それでも飲み方によってはこうした危険があるということです。 欧米や日本では、この基準値をなぜもっと下げないのでしょうか。それは現状ではまだ塩素による消毒が欠かせず、水汚染もエスカレートはしても抑えることが不可能だからです。つまりトリハロメタンに関する害毒については、蛇口から出たあと家庭でおのおのが村処するしかないということです。

できるだけきれいな水を選ぶ | 生活防衛マニュアルと環境ホルモンについて考える

でもトリハロメタンの危険性について記されています。

塩素は水をまずくするがどうしても必要

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塩素は必要悪

20世紀の後半、病気が病院では治らない時代になりました。現代社会に増加する活性酸素の問題、食事やストレスなど現代病のもとになる個々の生活習慣のあり方、あるいは遺伝的に受け継がれる体質の問題。他にもたくさん理由はるのでしょうが、そういったさまざまな不確定な要因が増えた結果、もはや病気はただ叩いたり切り取ったりすれば治るものではなくなったのです。

現代医学は感染症のような外から来る病気こそ克服しましたが、その人自身のなかから生まれてくる病気に対してはほとんどなすすべをもちません。 ガン、糖尿病、アレルギー性疾患など、現代人にふえている病気は、みなそうした内因性の病気です。こうした治らない病気に対しては、予防しかありません。 医療は病院にいる医師から患者一人ひとりにバトンタッチされたと言ってもよいでしょう。一人ひとりの生活レベルでしっかりとケアしていかなければならない時代になったのです。

毎日毎日の当たり前の生活のなかで、いかに賢くマイナス面を消していくのか、いかに効率的にプラス面を取り入れていくのか。それを考えるか考えないかで、その人の人生も大きく変化する時代になってきたのです。 いままで水や空気は当たり前すぎるほど当たり前の存在でした。しかし、私たちの生命維持に片時も欠かすことのできない物質でもあります。そんな当たり前の重要な物質に村して新たな認識をもてるかどうか、自分なりに実際の生活で改善できるかどうかが、その人や家族の人生を大きく左右することになるでしょう。 そのためには、客観的で正しい知識をもつことが必要です。水は危険と言ぅけれども、では水の何が、どう危険なのかを知らないままでは、結局は自分の生活を改善することはできません。

水道水の安全性やおいしさに関して直接的に問題になるのは塩素ですから、まずは塩素とはどういうもので、どんな役割を果たしているのか、さらに次項で述べるようなマイナス面としてどのような問題点があるのかを正しく理解しておく必要があります。 そのうえで、いたずらに怖がることなく、個々の認識に沿った適切な対策を考えることができるのです。

公共性の高い水道水の安全性

水道水は、もちろん「人々が飲める水」としてそれぞれの家庭や学校などに供給されるのです。その水道水にもしコレラ菌が混入していたらどういう事態になるのでしょうか。O157などの病原菌に侵された水が、いつも水道管を介して市民の口に入る危険があるとしたらどうでしょう。

これは、現在の水道水が「安全ではない」どころの騒ぎではありません。 「水道水が危ない! 」というのは「水道水は絶対に100%安全だ」という安全神話を抱くことに対する警鐘です。 水道水がそもそも一定レベルの安全性が確実に保たれていることは当然なのです。洗剤や農薬などの化学物質がこれだけ氾濫し、大量のし尿排水も水源に混入している現代で、しかも大量の消費量に耐えられるだけの水を安全に供給するためには、塩素の力に頼る以外に方法はありません。 「水道は絶対に安全ではない」ことは事実ですが、だからと言って私たちは水道水を使わずに生活することはもちろん、「水道水に塩素を入れるな」と主張することもできないのです。

むしろ、水道水を利用する前提として「蛇口から出る水に塩素が入っているから安心して飲める」と考えるべきでしょう。 塩素の入った水道水は、受け入れるしかありません。蛇口から出てくるまでは、塩素でしっかり消毒してもらわなければ困るからです。 しかし、そこから先は個人の対処になるわけです。社会の進歩に比例して水道水に含まれる塩素も増えていく現在、水道水に含まれる毒素が体内に蓄積される心配はますます大きくなります。

水に対してもっと関心と正しい知識が必要

蛇口から出た水をどう飲むのかは、個々の健康観に沿ってそれぞれが独自に対処する問題です。 健康に自信のある人のなかには「気にしない」と言う人もいるでしょうが、子供でさえ「半健康」な状態がふえている現在、生命の基本である水にはより安全で機能性の高いものを求める人がふえています。それが普通でしょう。

家庭用浄水器は、すでに3割以上の家庭に浸透したと言われます。生活排水の混入する琵琶湖を原水とする大阪で水道水がまずいことは有名ですが、これを水道局が急速処理によっておいしい安全な水にすることは技術的には可能です。 しかし大きなコストがかかるため、その分だけ水道代が値上がりします。

大阪に住む人に「現状のまままずい水で良いか、水道料金を高くしておいしい水にするか」というアンケート調査をしたところ、かつては圧倒的に「現状のままで良い」という意見が多かったのですが、最近は半々くらいになっているそうです。 こうした認識の変化は、水道水がまずくなったという感覚だけでなく、水に含まれる有害物質がガンなどの危険を増大するということが知られるようになったからこそでしょう。

もし知らなければ、浄水器はこれほど普及しなかったでしょうし、それだけ人々の健康も損なわれていた可能性もあると言えます。生命の基本である水は当たり前すぎるほど身近な存在ですが、そういうものにも常に問題意識をもつことが、21世紀の現代生活を健康で幸せに送るための重要な条件になるのだと思われます。

工場排水も生活排水も循環している

「水と安全はタダ」このように長らく日本人は考えていましたが、最近はその常識も大きくくつがえされつつあります。 たしかに水道のコックをひねれば蛇口から好きなだけ水が出てきますが、それは水の楽園から湧いてやってくる水では決してありません。

生活排水などによって汚染された湖や河川の水が、さまざまな処理過程をへて水道管を流れ、最終的に各家庭の蛇口から出てくるのです。 汚く濁って泡がぶくぶくと浮き上っているような水源地の水を見ると誰でも「とても飲める代物ではない」と思いますが、家庭の蛇口から出てくる水道水は確実にその水から作られているということを忘れてはいけません。

無条件で水道の水を受け入れられる時代は終わったのです。ただし忘れてならないのは、水源を汚染した張本人は、私たち現代人自身であるということです。工場排水など企業の姿勢を問題視するケースは少なくありませんが、実際には家庭排水やし尿処理水による汚染のほうがはるかに大きいのです。水道水がまずくなったと嘆く一方で、残した食事や洗剤をまったく無頓着に下水に流している姿勢は、これからはますます見直されなければならなくなるでしょう。

このようにして汚染が進んでいる水源地の水は、目に見えないところで水道水に処理され、確実に私たちの体に入ってきます。各地域の浄水場では、原水がどのようにして水道水に変えられ、供給されているのでしょうか。

誰が飲んでもおいしかった緩速濾過方

日本では19世紀の後半まで、ほとんどの家庭で井戸水の生活をしていました。もともと日本には雨が多く、そのおかげで青々とした木々が繁り、山には大量の地下水がたたえられていたのです。井戸水は、いたるところで取れました。当時は飲み水として使える川も多かったことでしょう。江戸時代には神田上水や玉川上水など、水源からの傾斜を利用して水を供給するシステムが建設されていましたが、こうした水事情の良さから、日本では現在のような本格的な水道は明治になっても特に必要はなかったのです。

ところが、明治10年ごろからコレラが大流行するようになり、ある年には死者が10万人を超えることもありました。こうして日本でも近代水道が急速に普及しはじめたのです。 日本の近代水道は1887年(明治20年)、横浜の浄水場でスタートしました。不純物を自然に沈澱させ、濾材と自然の微生物の力で浄水する方式でした。まず大量の水を貯めた池から、ゆるやかな傾斜に沿って水をゆっくりと流し、その過程で不純物を自然に沈澱させます。

こうしてにごりを取り除いた水は、次に玉石、砂利、濾過砂といった濾材にゆっくりとくぐらせ、じっくりと濾過していきました。 これが戦前まで日本の浄水場で採用されていた「緩速濾過方式」です。緩速濾過方式では水の進む速度が1日に4~5 メートルですから、その処理能力はタカが知れています。しかも巨大な貯水池と濾過に要する敷地が必要になります。ただし、この古来の方式で浄化された水は、消毒や凝固のための化学物質が添加されないので、自然の状態そのままの安全でおいしい水になります。

誰が飲んでもおいしかった緩速濾過方

日本の水道水が塩素によって殺菌されるようになったのは、はじめて水道法が施行された昭和32年以降のことです。 しかし当時水源地の水は現在に比べまだまだきれいだったし、水道水の供給も十分だったため、依然として緩速濾過方式による浄水は続けられました。

使用すべき塩素は微量でよく、まだ水はおいしかったのです。日本がアメリカで開発された急速濾過方式に転換していったのは、昭和39年の東京オリンピック以後のことでした。 急速濾過方式の利点は、いかに汚れていても大量の薬品を入れさえすれば短時間で大量の水をきれいにすることができることと、緩速濾過方式のように広大な土地を必要としないことです。

超高層ビルの建ち並ぶ新宿副都心には、かつて緩速濾過方式による巨大な淀橋浄水場がありました。 いま東京都民の水をすべて緩速濾過方式の浄水場として供給するとしたら、このような広い敷地が17カ所も必要になると言われています。 人口過密が加速度的に進んでいた日本の都市では、好むと好まざるとにかかわらず急速濾過方式に変換せざるをえなかったのです。

化学物質で消毒された水道水

急速濾過方式では、悠長に沈澱するのを待つのではなく、水中に溶けている細かい浮遊物や有機物を化学的に凝固させて分離します。そのために大量の薬品が使われます。 その水は一見緩速濾過方式で濾された水と変わりないように見えますが、実はアンモニア、マンガン、合成洗剤の化学成分、藻やカビの臭気などはほとんど取り除かれていません。

しかも濾過層を1 日に120~150mという早いスピードで通過するので水中の微生物による自浄能力がほとんど発揮されず、タンパク質などの有機物も完全には除去できません。それらを栄養源とする細菌の存在を否定することもできません。 このため、とりあえず安全な水にするために、投入する塩素の量も格段に増やさなければならなくなりました。東京都水道局の急速濾過方式による浄水法では、原水を各家庭に送る水道水にするまでに、二度の塩素注入が行われます。 ここ数十年で日本の水道水は特にカルキ臭くなったと言われるのも、トリハロメタンなどの有毒物質が検出されるようになったのも、すべてこの大量に使用される塩素と水源の水に含まれる有機化学物質が反応して起こづているのです。

時々、塩素のおかげで食中毒も防げているという人がいますが、食中毒を防ぐために塩素まみれの水を飲むのはおかしいと思いませんか?他に食中毒を防ぐ方法はいくらでもあるのです。

いつの日からか水道水がまずくなってしまった のでしょうか?小さい頃は、水道の蛇口をひねれば、いつでもおいしい水が出てくる。しかもその水はいつでも自由に飲める 。かつては、これがわが国の 「水道水 」 の常識でした。 40代以上の人なら誰でも、子供のころ公園や学校の水道の蛇口から直接、水をガブ飲みした経験があるはずです。今の子供達は水筒に ミネラルウォーター を入れて家から持って行くのが常識です。

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水道水がまずくなった

40歳以上の方なら 水道水 がまずかった記憶している人は、おそらくいないと思います。 ところが、最近の 水道水 はどうでしょうか。多少のどが渇いていても、蛇口から出てきた水をそのまま飲むというのは最後の手段にしたい気持ちになります。 それは、臭くてまずいからです。

その臭いと味は自然界のものではなく、とても体に悪そうな感じがします。 塩素やトリハロメタンという化学物質についての知識をもっていなくても、その臭いと味を経験すれば、 「 飲めない水 」 ということが誰にでもすぐにわかります。 日本全国の 水道水 の味はその地域の水系によってそれぞれ異なっていて、ひどくまずい都市も比較的おいしい都市もあることは事実です。

それでも日本の 水道水 全般が昔に比べてひどくまずくなってしまったことは、歴然としています。日本の 水道水 はなぜ、こんなにまずくなってしまったのでしょうか。

浄水の方法が変わった

水はどんな生物にとても生命の源です。もちろん、人類が登場する以前の太古の世界から地球上に存在していました。だから、地球上の生命を育んできた水は、生きものにとって無条件に「安全」で「おいしい」はずです。 各地の 名水 といわれる湧き水を飲むと「こんなにうまい水があるのか! 」と驚きますが、本来、水はこのようにうまいものなのです。

しかし60億もの人間が住むようになった地球、しかもその都市においては、もはや完全に純粋な状態での自然の水は望むべくもありません。 自然の水のおいしさをゼロとするなら、人類文明の発展に反比例するように、その本来の水のうまさはマイナスに加速していったのです。

それでも人間の排泄するし尿が有機肥料としてエコロジカルに循環活用されていた時代、農薬や洗浄剤などに使われる合成化学物質の蓄積が現在のように高濃度になる以前の時代には、 水道水 も自然に近い状態で決してまずくはありませんでした。

日本で言えば、ここ数年で急激にまずくなってきたのです。その直接的な原因は、水をきれいにする 濾過 の方式が変さったことにあります。

急速濾過方式

急速な高度経済成長に伴って河川や湖沼には細菌や化学物質が増えました。水道という公共的なライフラインにとっては、伝染病などの危険を回避することは、おいしさよりもとりあえずは重要です。 さらに、都市部の人口がこれまでに経験したことのない早さで爆発的に増加し、人々の生活も豊かになって大きく変化してきました。

水洗トイレや全自動洗濯機などが普及し、毎週のようにマイカーを洗車する人が少なくありません。 豊かになりおしゃれになれば、美容室へ通う回数も増えます。髪の毛を染めたりパーマをかけたりする頻度も上昇します。 こうして水の需要量が飛躍的に増えてきました。

工場や家庭で大量に消費され捨てられる排水のすべては、し尿や洗剤やさまざまな有機物によって汚染されています。 自然界で分解できない(分解しきれない)物質がどんどん水源に流れこみ、溜まっていきます。もはやとても自然の水とは言えませんが、需要は時とともにうなぎ昇りですから黙って見ているわけにはいきません。

このような背景から、浄水場での水の濾過方式は変わっていきました。かつて 水道水 がおいしかった時代の緩速濾過方式ではまかないきれなくなって、より効率的な急速濾過方式が採用されました。 こうして水源地が汚染され、急速濾過方式に変わったことで日本の水道水は急激にまずくなり、さらに発ガン性物質を含むなど100% 安全な水 とは言えなくなってしまったのです。100%安全と言えるミネラルウォーター はかなりお金がかかります。