統計的に見て、朝方から午前中にかけて脳梗塞や心筋梗塞の発作を起こす例が非常に多くなっています。その理由については「人は寝ている間に汗をかき、一晩で1 リットルもの水分を体外に出しています。ですから、誰でも就寝から数時間たった朝方には水分不足によって血液がドロドロになっており、血栓ができやすい状態になっているのです。
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これに加えて、朝方は交感神経の働きに刺激を受けて血小板の働きも活発になります。血小板は血を止める働き、つまり凝集能力があるので、この働きが活発になると血が淀んだり鬱血したりして、動脈硬化の原因となってしまいます。
この明け方の『魔の時間帯』の危機を救う方法があります。それは、就寝前に水を飲むということです。臨床実験で「就寝前の水分摂取が明け方の血液の凝縮や心筋梗塞の予防に効果的であることがわかりました。ある一定条件を満たした方、20名に、就寝前、市販のミネラルウォーター500ミリリットルを飲んでもらい、血液粘度を示すヘマトクリットの変化を観察したところ、就寝前に水分を摂取しなかった時に見られた、朝のヘマトクリットの上昇が抑制される傾向が見られました。
昔の人は、毎晩枕元に水を用意しておき、この水を「宝水」と言っていました。寝苦しい時などに飲むと体がラクになることを経験的に知っていたのです。医学的に見ても、水は就寝中の水分不足による血液の粘着度の増大を緩和して動脈硬化を予防し、心筋梗塞をはじめとする虚血性心疾患の発作から命を守る『宝』の水であると言うことができます。
気になる水の飲み方ですが、「30代、40代の人なら500ミリリットル程度を常温で、就寝30分前くらいに摂るといいでしょう。お年寄りや女性の方など、大量の水を飲むのが辛いという人は、コップ1杯程度でかまいません。自分の飲める範囲で飲めばよいのです。
この方法を特に勧めるのは、40代以上の太り気味の男性です。同年代の女性に比べると、男性は一般的に動脈硬化の危険性が高いことがわかっています。そのうえ、肥満傾向にある人はコレステロール値が高い、血圧が高い、血糖値が高いなど、生活習慣病の危険因子を持っていることが多く、動脈硬化の危険が非常に大きいのです。心当たりのある男性は、いますぐ就寝前に水を飲む習慣をつけましょう。
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