脳卒中に負けない体

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いつ起こるか分からない脳卒中。しかし、注意していれば早く気づけるほか、普段の訓練によって、脳卒中になったとしても負けない体をつくることも可能です。

進化の過程で取り残された脳

脳卒中の症状や原因、その対策をお伝えする前に、まずは脳がどういう組織なのかをお伝えします。

私たちは毎日いろいろな食事を摂りますが、脳は脂肪やビタミンなどの栄養素を必要とせず、ブドウ糖のみを栄養源とする「偏食家」です。また、体内のほかの組織の血管は編み目状に、なっていて、一箇所が詰まっても壊死しないようになっているのに対し、脳の血管は一本道。

そのため、どこかが詰まってしまうとその近辺の細胞は壊死してしまいます。さらに、脳は太い血管からいきなり細い血管になっているため、血液の圧力がかかりやすく、破れやすいのも特徴です。このように比較的もろいともいえる脳は、進化の過程で取り残されたといわれています。

脳卒中の原因

脳の特性が分かったところで、今度は脳卒中とはどんな症状で、どんな原因で起こるのかを紹介します。脳卒中は脳に突然起こる血管障害の総称で、大きくは「くも膜下出血」「脳出血」「脳梗塞」の3 つに分類されます。

くも膜下出血とはその名の通り、脳の表面にあるくも膜のすぐ下で、血管が破れて出血してしまうこと。この場合はハンマーで殴られたような痛みがあるほか、頭痛や吐き気を伴ったりもします。根本的な原因は分かっていませんが、1つには遺伝が関係している、もう1つには女性に起こりやすいものだといわれています。また後天的な要因としては、喫煙、飲酒、高血圧が挙げられるため、それらに注意すればくも膜下出血を防げる可能性が高まります。

次に脳出血ですが、これは脳の表面に出血するくも膜下出血とは違い、脳の内部で血管が破れて出血するものです。
脳出血になった場合も頭痛がするほか、片麻痺や失語症といった症状が現れます。大きな原因となっているのが高血圧なので、しつかり血圧をコントロールすればある程度予防することが可能です。血圧を下げたいのなら発酵黒豆の効果が絶大です。
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また、ある医師は「私が脳外科になった30年前までは脳出血が多かったものの、今ではいい薬が出てきて減っている」と話します。したがって薬をきちんと服用することでも、脳出血を防ぐことができます。

最後に脳梗塞ですが、この病気は症状の軽い順に「ラクナ梗塞」「アテローム脳梗塞」「心原性脳塞栓症」という3つに分けられます。

ラクナ梗塞は程度が軽いため自覚症状が少ないのですが、病気が進行すると認知症をおこす場合もあります。中程度の病態であるアテローム脳梗塞とともに、その主な原因となっているのが高血圧や糖尿病、喫煙です。

そして最も重症な心原性脳塞栓症ですが、これは心臓にできた血栓が飛んで脳の血管に詰まることによって起こります。

原因は不整脈の1つである「心房細動」と呼ばれるもの。心房細動は年を取るにつれて起こりやすくなるほか、心電図を取っても異常が検出できない場合が多く、まさに突発的に起こるため注意が必要です。自分の体に耳を傾け、「走るような」「魚が跳ねるような」感覚があれば病院を受診しましょう。

脳卒中に負けない体
脳卒中かどうかは次の3 つの症状を確かめることで、ある程度自分で判断することが可能です。「どちらか一方の顔の筋肉が上がらない」「両腕を上げていると片方だけ降りてくる」「言葉がうまくしやべれない」のうち、1 つでも当てはまれば70%の確率で脳卒中だといわれています。

もし血管が詰まる脳梗塞なら、発作が起こってから4時間半以内であれば血栓を溶かす薬による治療が可能なため、症状が現れた際には救急車を呼ぶなどして、直ちに病院へ行くことけ必要です。また、「言葉がしゃべれない」という症状が1分だけ、あるいは30分だけ続くなら一時的であったとしても、できるだけ早く受診するようにします。

そして脳卒中に負けない体をつくるためには「思考」「歩行」「経口」の3 つのトレーニンびが重要です。つまり「考えられれば歩け、歩ければ食べられ、食べられればまた考えられるという好循環が生まれるのです。

新年度は不眠に陥りやすい

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4月~5月は、引っ越し、部署の移動、上司や教師などの変更でストレスがたまりやすい。最初のうちは体もそれらに対応できるけれど、だいたい5月のゴールデンウィーク明けあたりから体調がおかしくなってくる。まず、よくあらわれるのが不眠、便秘、肩こり、手足が冷たい...といった症状。

これらは普段でもでやすい症状なのであまり深刻に受け止めなくてもいいケースも多々ある。これまで眠れていたのに眠れなくなる...という症状については別。朝、目が早く覚めてしまう、途中で目が覚めてしまう、寝付きが遅いなどは日本人の5人のうち1人が悩みを抱えている。

こういった睡眠トラブルで日中に支障をきたすようなら睡眠障害となる。医師による診断および治療が必要となる。不眠の主な原因はこちら。

睡眠が必要なのは、脳を休めるために必須なのです。特にノンレム睡眠は脳や体の細胞を回復するための眠りとなっている。そしてレム睡眠は、感情面の調整や記憶の定着に働きます。レム睡眠、ノンレム睡眠についてはこちら

眠くなるメカニズムは、1つは疲れて眠る仕組みです。これは起きている時間に応じて睡眠物質が蓄積され、これにより眠くなるものです。もうひとつは体内時計によるものです。夜になると、心身を休める休息の状態に切り替えるためのホルモンが働くということです。

自分らしさのまま認知症と向き合う

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うつ病とわからないケースについて紹介しましたが、実はここ最近の日本は4人に1人が認知症の時代です。

9年後の2025年には700万人を超えるという発表もありました。日本はいまや65歳以上の4人に1人が認知症とその予備軍となる、超高齢社会を迎えています。

認知症と聞くと、「自分も発症したらどうしよう… … 」という不安が、まずはつきまとうかもしれませんが、しかし、長生きをすればするほど、人間誰しもが進む道、と考えてみるとどうでしょうか。

他人事ではなく、いざという時のために知識をもっておこうと思えるのではないでしょうか。残念ながら、「こうすれば絶対に認知症が防げる」という確実な方法は、いまだ発見されていません。しかし、生活習慣の改善が認知症予防になることはよく知られており、皆さんも何かしら目にしたり、実行されたりしているのではないでしょうか。

「老いは誰しもが通る道」を基盤に、認知症を発症した場合、どのような対応が望ましいのか? については、若い子供や孫、ひ孫の代がきちんと頭に入れておかなければいけません。

認知症とは、認知機能が低下する状態のことをいい、いくつかの病気をまとめて認知症とよびます。認知症は一般的に治らない病気といわれていますが、およそ10% は治る認知症です。認知症になると、どのような症状がでるのでしょうか。簡単にまとめると次のようなものです。

記憶障害を中心とした「中核症状」

脳の神経細胞の傷害によって起こる症状で、直前の記憶を忘れたりする「記憶障害」が代表的です。ほかに、筋道を立てた思考ができなくなり、判断力の低下、時間や場所や名前がわからなくなる「見当識障害」などがあります。

本人の性格や環境の変化が加わって起こる「周辺症状」

認知症になると中核症状以外に、妄想や幻覚を見る、暴力をふるう、俳梱といった「精神症状」が現れることがあります。同時に、うつや不安感、無気力といった「感情障害」が起こるケースもあります。周辺症状は、その人の性格や生活環境、人間関係などが影響し合って起こるもので、症状は人それぞれ異なります。また、接する人や日時によって大きく変わることもあります。

生活リズムが症状に影響する

認知症の方がその人らしくあるためには、周囲の助力やケアが重要です。
まずは、食事→排泄→活動→清潔→睡眠・休養→食事という生活リズムを上手く作ることが大事になってきます。
たとえば後期高齢者(75歳以上) になると、腎機能の低下により安定剤などの薬が体内から抜けきれず、蓄積されていくことがあります。
生活リズムが崩れると、この蓄積された薬の影響で脳のスイッチが常に入った状態になり、「夜間せん妄」などの症状が現れることがあります。ですから、認知症の人の生活リズムをどうやって上手く作れるか? ということが、とても重要になってきます。

あたり前の生活リズムですが、ひとつでも崩れてしまうと、症状が悪化することがあります。また、ご家族や医師とのやりとり、施設内での多職種連携も大切にしています。

在宅介護は、1人だけで続けられるようなことばかりではないと思います。抱え込まずに時には肩の力を抜いて、誰かを頼ってみてはいかがでしょうか。

よいアドバイスをもらったり息抜きをしたりして、自分のパートナーや両親や祖父母などケアを必要とされている方への愛情を再確認することで、より良いケアが続けられるのではないかと思います。

認知症の人は、「自分が何を欲しているのか」「落ち着かない理由は何なのか」などが、ご本人でさえもわかりません。そんなとき介助する人が、せかさず、怒らず、いま何を欲しているのかを見抜くことができれば、それが相手にも伝わって、認知症の人も穏やかに安心して過ごすことができるのではないでしょうか。

「その人がその人らしい終末期を、どうやったら過ごすことができるのか? 」それを考えていくことを周囲の人にも一緒に考えてほしいと思います。

認知症予防についてはこちら。

うつ病とわからないケース

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うつ病とは、気分の落ち込みや意欲の低下など、精神症状があらわれてくる病気である。

しかし、なかにはこうした精神症状が直接あらわれずに、身体症状となってあらわれる場合がある。たとえば、疲労感や胸苦しさを感じるので受診し、治療を受けてみたのによくならない。どんな治療を受けても効果がないので、ついには精神科に相談して心理療法を受けてみたところ回復した、というケースもある。

この場合、とくに精神症状はみられなかったものだが、本来ならうつ状態に陥ってしまうところ、身体症状としてそれがあらわれ、仮面のように精神症状をおおってしまったと考えられる。

そのためこうした症状のうつ病は、仮面うつ病と呼ばれている。あらわれる身体症状はこのほかにも頭痛、吐きけ、食欲不振、腹痛、けんたい原因不明の下痢・便秘、倦怠感などいろいろなものがあり、最近ではとくに中年以降の男性に増えているともいわれる。治療には、本来のうつ病と同じく、抗うつ剤が用いられる。

躁うつ病の原因、治療はこちら。

塩化ナトリウム9.9割以上「高純度の塩」は危険

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昭和46年に「塩業近代化臨時措置法」という法律がつくられ、従来の流下式塩田は全面廃止になり、イオン交換樹脂膜製塩法に変わりました。

この製法は、海水層の中に陽・陰イオン交換樹脂膜を交互に入れ、両端から直流電気を流し、ナトリウムと塩素を分化、濃縮して濃い海水をつくり、真空蒸発釜に入れて水分を除き、遠心分離機にかけ乾燥させたものです。

わかりやすくいえば、海水の中のナトリウムと塩素を結合させ、それによって塩化ナトリウムが9.9割 以上、特級精製塩にいたっては9.98割以上という純度の高い塩をつくっています。

まさに、日本の製塩史は「そのままでは使えない海水」から、いかに効率よく水分を除き、過剰な苦汁を除くかの歴史でもあったわけです。

しかし、苦汁は不要なのかというと、そういうわけではありません。

塩というのは、塩化ナトリウムを中心として、塩化マグネシウム、硫酸カルシウムなどの稀有元素まで含めて100種以上のミネラルを含んでいます。そして、塩化ナトリウム以外の物質を総称して苦汁と呼んでいます。

従来の塩は、製法によって違いますが、この苦汁が1割から2割は含まれていました。そのことによって、湿気を吸いやすいという生産上の欠点はありましたが、特有の風味があったものです。

イオン交換膜法になってから、生産性は向上しましたが、「漬物がうまく漬からない」、あるいは「塩辛いだけで味に丸みがなくなった」
といった消費者の声が聞こえるようになってきたのです。

また、当時の日本専売公社の塩については、「適度にニガリ分を除くとか、生物学的に有益をもった塩はいかにしたら得られるか、という生命への配慮の形跡がさらさらないのである。

国が目指していたところは「いかに純粋」 に、「いかに安く」 「いかに大量に」 「いかに早く」 「いかに効率よく」 国民に供給できるかということのにみ専念されているのである。

米や小麦粉と同じように、塩からもたくさんのミネラルが捨てられるようになっています。日本の長い製塩史を考えたとき、塩化ナトリウムが9.9割 以上という現在の塩が本当に安全なのか、疑問をもたざるをえないのです。

最近の塩は必要以上にさらさらしている

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私はこれまで2度ほど、「塩の道」として有名な千国街道(新潟県の糸魚川から長野県の松本まで) の約30里( 120キロメートル) を歩いています。

この道は、瀬戸内海でとれた塩を北前船で糸魚川まで運び、そこからポッカと呼ばれた人たちが松本まで運んだ道として知られています。

さすがに、信州は日本列島でもっとも幅の広い場所、つまり海から遠い場所だけに、その苦労の跡は今でも目にすることができます。

私が歩いたのは真夏ですが、冬は豪雪地帯としても有名な場所です。雪崩などで亡くなった方を祀るためのものでしょうか、石仏がいたるところにあります。そこを歩いたとき、地元の老人に「塩はもめる」という話を聞いたことがあります。

その話は、ポッカが雨の糸魚川を50キロの塩を背負い出発したにもか

かわらず、松本に着いたときには40数キロに減ってしまうことがあったためだといいます。この話は、塩の性質をよくものがたっていると思います。

それは、塩に含まれる苦汁の水分を吸着する性質にあります。つまり、雨の日などは水分を吸うために塩は重くなるわけです。ところが、運ぶ途中で天気が回復すれば水分が蒸発してしまうため、軽くなることになります。そのために、塩をかすめとったのではないかと、もめることがよくあったといいます。

私たちが子どものころも、卓上の塩のビンには湿気を防ぐために焼き米が入っていたものです。しかし、現在ではそのような心配はほとんどなくなっています。なぜかといえば、現在の塩には苦汁がほとんど含まれていないからです。

塩を入手する方法を大別すると、岩塩、天然かん水、海水などがありますが、わが国の場合には岩塩や天然のかん水がほとんどないため、海水から塩をとる方法がとられてきました。

昔から「海水は飲んではいけない」といわれますが、実際に、海水は苦汁が多いために、腎臓を硬化させたり、胃や腸の粘膜組織に損傷を与えることになります。

そのため、日本人は海水から水分を除くと同時に、過剰な苦汁を除く方法を考えてきたのです。

最初は、天日製塩といって、天日の熟で結晶塩をつくっていたといわれていますが、天気まかせで効率が悪いために、海草や砂を使い、天日だけではなく燃料も使い、風の力も利用してつくられるようになってきました。
おおまかな発展段階を見ると次のようになります。
  • 天日製塩/天日の力だけでつくる
  • 直煮製塩/直接海水を煮つめる
  • 藻塩製塩/海草を使い濃い海水をつくり、煮つめる
  • 揚浜式塩田製塩/塩田で砂を使い濃い海水をつくり、煮つめる
  • 入浜式塩田製塩/塩の干満の差を利用して塩田に海水を入れ、砂を使い、濃い海水をつくり、煮詰める
  • 流下式製塩/粗朶や竹をつるした枝条架に海水をたらして、風力と天日によって濃い海水をつくり煮詰める

白いパンがおすすめできない理由

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40~50年前、私が子どもの頃、田舎ではカレーライスが、ぜいたくな食事であった。われわれ子どもたちはカレーライスが毎日食べられたらどんなに幸福だろうと夢想した。
しかし、今日、この夢想は現実となった。

事実以上になったというべきかもしれぬ。カレーライスを毎日食べている人間は、それだけで貧乏である証拠とさえなった」まさに、「事実以上になった」という表現がぴったりくるほど、わが国の食生活はとてつもない変化をしてきました。

一言でいえば、食生活の欧米化、多様化ということになると思います。その原因の1つは、あらゆる穀類の消費量が減少しているにもかかわらず、小麦粉の消費量だけが増えていることにあるのではないでしょうか。

小麦粉は、米やトウモロコシなど、ほかの穀類と比較すると、その用途の広さに特徴があります。それは小麦粉に含まれるグルテンというタンパク質の性質によるものです。パンがふっくらとふくらんだり、うどんや中華麺にシコシコとした歯ごたえがあるのは、まさにこのグルテンの性質によるものなのです。

ざっと身の廻りを見ても、小麦粉を使った食材は、パン、ケーキ、クッキー、パイ、まんじゅう、うどん、マカロニ、スパゲッティ、中華麺、てんぷら、フライ、お好み焼き、ピザ、ギョウザなどじつにたくさんあります。

これらの食品を見れば、食生活の欧米化、多様化の大きな原因になっていることがわかると思います。

そして、もっとも大きな問題は、これらの食品に使われている小麦粉そのものが、白米と同じように真っ白になっていることです。

小麦は大きく見ると、表皮、胚芽、胚乳の部分に分けられますが、小麦粉はおもに胚乳の部分でつくられています。つまり、胚芽や表皮の部分はほとんどが使われていないわけです。そのことによって捨てられるビタミンやミネラル類はわずかの量です。

それゆえに微量栄養素と呼ぶわけですが、このわずかな量の積み重ねこそが問題で、まさにちりも積もれば山となるわけです。

パンと小麦粉の歴史について、「ひき臼、あるいは石臼は、今でも僻地で使われているが、イギリスでは、事実上1870年まで、これによって製粉が行われていた。穀物をひく方法が原始的であるということは、口にするパンやポリッジ( オートミルなどのかゆ) に、麦の胚がいっぱいに入っているということであった。

近代のローラー製粉は、粉砕にはずっと効率が簁そのほかの機械器具を使って、胚を効果的にふるい分けて、白い麦粉を残すことができるようになった。

白パンを食べることがはやりだし、白さが重んじられて、一層白い粉を供給する技術が、絶えず追求されるようになった。

ビクトリア朝の英国では、小麦粉とパンが主な食料源であり、貧しい人々にはことにそうであった。だが、精製法が改良された結果、小麦粉の組成に変化が起こった。それは、とりもなおさず1日の推定要求量で、ビタミンB1が半分に、ニコチン酸が3分の1に、鉄分が3分の1に減少したということであった。

もっとも影響を受けたのは貧しい人々で、お金のある人々と違って、ほかの食物でこうした損失を補うことができなかったのである。ドラモンドとウィルブリアムのような権威によれば、とくに女性の間にひどい貧血痛が蔓延したのは、胚を除いたことと、改良した食物の栄養の質の低下とが原因であった。

私たち日本人も、月に1~2度程度しかパンを食べない時代ならばその影響もたいした問題ではありませんが、これだけ小麦粉を使った食品を食べる現在では、その
影響力はかなりのものがあると考えるべきだと思います。

ダイエットはご飯を抜くから失敗する

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このような考え方に対して、「たしかに、米は精白されるほど栄養素は少なくなる。しかし、それらは副食で十分に補えるものだ」といった考え方を主張する人たちもいます。

つまり、白米で不足した栄養素は、副食で十分に補えるというわけです。このような考え方が、「少しのご飯に栄養豊かな副食を食べよう」、あるいは「ご飯は残しても、副食はきちんと食べよう」といった非常識を生み出し、米離れを助長することになっています。

ここでは、このような考え方がいかに間違ったものであるか、具体的な数字を挙げながら説明しましょう。

1日に3杯のご飯を食べるとします。およそ400グラムになります。このときの白米と玄米の栄養素を比較したものが、次のとおりです

それらの中から、ビタミンB1を見ると、玄米は0.64ミリグラム、白米は0.08ミリグラムになっています。
つまり、1日に0.26ミリグラムの差が出ることになります。もし、この0.56ミリグラムを副食で補おうとすれば、具体的に計算してみると、生卵なら933グラム、牛乳なら1400グラム、キャベツなら1400グラム、リンゴなら2800グラムも必要になります。

ビタミンB1を補うだけでも、これだけの副食が必要になってくるのです。その他の ビタミンやミネラル、脂質などすべての栄養素を副食で補おうとすれば莫大な量になってしまいます。

実際、白米を常食としている人の場合、「不足した栄養素を補う」かのように副食を大量に食べることになり、大食になっていることが多いようです。

そのことが肥満の根本的問題でもあります。ファッションモデルやボクシング選手に玄米を食べている人が多いのも、安全に、しかも体力を落とさずに減量することができるからなのです。

いや、減量というよりも、主食から微量栄養素をきちんととることによって、むだな副食が自然に減ってくるといったほうが正解かもしれません。しかも、この表にある成分は、あくまで食品成分表に出ているものだけです。精白することによって失われている栄養素はもっともっとあるはずなのです。

玄米食にすれば副食はそれほどいらないのです。海苔とごま、梅干し程度で十分です。
ご飯&味噌汁で原点回帰

「粕」という字は、なぜ「白い米」と書くのか?

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現代食は、微量栄養素(ビタミン、ミネラル類) がかなりの割合で捨てらてしまっています。これが現代病を引き起こしている原因だと指摘する専門家もいるぐらいです。

その中で、私たち日本人にもっとも影響力が大きいのが白米です。白米は玄米からぬか(胚芽や糊粉層など) をとったものですが、玄米と白米ではあらゆる意味においてまったく異質の食物なのです。

今、日本人のほとんどは白米を食べています。そして、それが普通だと考えている人が多いのではないでしょうか。

「白米を食べだしたのは、せいぜい豊臣秀吉が死んでからのことで、淀君以来です。要するに大阪落城のちょっと前、35年前から、ようやく、日本人は白米を広く食べだした」いうことです。

しかし、この当時の白米は、精米技術がまだまだ低かったため、現代の白米とはかなり趣きの違うものだったはずです。

今日見られるような、真自でぬかの部分がすっかりとり去られた精白米になったのは、明治時代以降になってからと考えられます。

つまり、日本人と米との長いつきあいを見たとき、むしろ白米のほうが特殊だといえるのです。
玄米には胚芽がついています。この胚芽は、米の生命の宿っているもっとも重要な部分で、タンパク質、脂質、ビタミンA 、B1、B2、B6、B12、E、ニコチン酸、パントテン酸、各種ミネラル類を含んでいます。

まさに「天然の栄養素の宝庫」なのです。また、糊粉層の部分には、脂質、タンパク質、食物繊維などがたくさん含まれています。

つまり、玄米には栄養素がたくさん含まれているだけでなく、エネルギーを生産、吸収し、効率よく燃焼させるビタミン、ミネラル類も含まれているのです。さらには、食べた残りかすをきちんと排泄するための食物繊維もついています。

まさに、日本人にとっては理想的な主食なのです。それにひきかえ白米は、精白されて白い部分(胚乳部) だけになってしまい、糖質がほとんどで、タンパク質が若干あるだけで、ほかの微量栄養素はかなり少なくなっています。白い米と書いて粕という文字になるのも、うなずけます。

捨ててしまう粕を使った粕漬けなどは栄養満点です。現代人が不要だと思い、捨ててしまう部分に多くの栄養が含まれているのです。

日本人のおよそ300万人がフレイルという統計もあるほどです。これを放っておけば介護が必要になる可能性が高いので、見逃せない状態です。

フレイル→要介護に

「フレイル」とは、年齢に伴って筋力や心身の活力が低下した状態をいいます。「frailty ( フレイルティー)」は弱さ・虚弱という意味の英語で、欧米では既に20年程前から、医療現場で使われている言葉です。健康と病気の中間のような段階で、これを放置すると要介護につながります。高齢者の多くはフレイルティの段階を経て「要介護状態」になるので、早期発見をして対処することが必要です。
愛知県のある都市で行われた調査によると、65歳以上で脳卒中などの持病がない人のうち、約1% がフレイルだったそうです。これを全国民に当てはめてみると、およそ300万人がフレイルであるという計算になります。つまり、体力や筋力が低下し、日常の買い物に出かけるのが億劫になったり、人と接する機会が減るなどします。また、食生活がバランスを欠いたものになることで、ますます体が衰え、さらには判断力・認知機能いわゆる頭の働きも低下する、といった悪循環が起きます。これがフレイルです。

予防はしっかりとした栄養と活動

学会のワーキンググループ代表を務めた京都大学の荒井教授が、左表のような予防法を提案しています。つまり予防として大切なのは、しつかりと栄養を摂って、しっかりと活動することです。

フレイル予防法

  • たんばく質、ビタミン、ミネラルを含む食事
  • ストレッチ、ウォーキングなどの運動
  • 身体の活動量や認知機能を定期的にチェックこれは自分ではなかなか難しいですが、医療機関や周囲の人に協力してもらうなどして気がつきたいですね。
  • 高齢者の体力が急に落ちるきっかけとしては肺炎などがあるので、予防のためにインフルエンザや肺炎球菌などのワクチン接種を受けることも大切です。
  • 手術の後は、栄養やリハビリなどの適切なケアを
  • 薬の種類が多い人は主治医と相
以前から日本人の、特に高齢者の食事はたんばく質が不足気味だと指摘されています。たんばく質は筋肉のもとになる栄養素ですから、不足するとフレイルにつながります。
たんばく質は、牛乳や卵などで摂るとよいでしょう。魚や肉、納豆などもたんばく質が豊富です。1 日の食事のメニューで、合計60 グラムぐらいのたんばく質が摂れるようにするとよいでしょう。
フレイルになっていない人の予防なら散歩だけでも十分ですが、既にフレイルになっていたり、体が弱ってきたりした人には、散歩のような有酸素運動だけでは不十分です。既に衰えた骨や筋肉を取り戻すには、適度な「筋トレ」も必要です。
例えば手軽にできる筋トレとして、ハーフスクワットがおすすめです。しっかりと固定された机などに掴まって、腰を半分だけ下ろす( ハーフスクワット)を何回か繰り返します。フレイルにならないよう若い頃からしっかりと『貯筋″』をして、ぜひ、今からでも食事や運動に気をつけていただきたいものです。