糖尿病は3大合併症の網膜症、神経障害、腎症のほか脳卒中や心筋梗塞などの全身症状を引き起こす

糖尿病の患者は年々増加しており、予備軍を含めると2050万人に上ります。しかも、50代以上の患者数は増える一方です。ところが、健康診断で血糖値やヘモグロビンA1C値が高くてもほとんどの人は治療をしていません。

それは、高血糖であっても初めは無症状のため危機感を感じないからかもしれません。

糖尿病の恐ろしい合併症の話をする前にまず、糖尿病の原因である高血糖を引き起こす仕組みについてです。

血糖とは食事によって取り入れられた糖が分解されてできるブドウ糖のことで、血液中に含まれる量が血糖値です。食後、急激に上がった血糖値を調節しようと、すい臓からインスリンが分泌されます。この働きによってブドウ糖が肝臓や筋肉に取り込まれ全身の細胞でエネルギーとして利用されるのです。

このシステムが正常であれば血糖値は一定に保たれます。しかし、加齢や生活習慣などによりインスリンの分泌が減ったり、その働きが低下したりするとエネルギーになれなかったブドウ糖が血液中にあふれ血糖値が上がるのです。その状態が長く続くとヘモグロビンA1Cも上がります。

ではなぜ高血糖を放置してはいけないのでしょう。それは、高血糖になると血液がドロドロになり血流が悪くなつて血管を傷つけるため。また、末梢神経の細胞がおかされ、知覚・運動・自律神経すべてに悪影響を及ぼします。その結果、糖尿病が恐ろしいといわれるゆえんである3大合併症が引き起こされるのです。

3大合併症とは、最悪の場合失明に至る「網膜症」、手えそ足などが壊疽を起こし切断を要する場合もある「神経障害、人工透析が必要な腎不全を起こしうる「腎症」のこと。ぞっとする症状ばかりですが、実はこれだけではなく、脳卒中や心筋梗塞、感染症、肺炎、歯周病これらすべての病気にかかりやすくなります。さらに、糖尿病を一度、発症すると傷ついた血管を元に戻せないため、一生付き合わなければならない病気になるのです。

糖尿病の合併症について詳しくはこちら。

しかし、糖尿病改善や予防のためにできることはたくさんあります。よくいわれるのは、運動、食事、薬物療法ですが、なかでも私が一番有効と考えるのは食事療法です。

具体的には、「食べ順」と「噛む回数」を意識すること。食べ順は、野菜、おかず、ご飯の順にし、ひと口30回は噛むのです。これを守れば、炭水化物の吸収が緩やかになり、血糖値が上がりにくくなります。

最近は柔らかい食べものが増えているので、マカグミアナッツのような硬いものを時間をかけて噛むのもよいでしょう。その他に気をつけたいのは、勘違いされやすいカロリーと糖質の違い。これは全くの別物です。ヘルシーなイメージのそばや果物は、実は過糖質な食べもの。逆に、脂質やタンパク質をとっても血糖値は上がりません。誤解しやすいカロリー計算と糖質の違いを正しく理解し、糖質を控えた食事をとることも非常に大切です

1万歩歩いても消費カロリーはたったの270kcal 1杯のビールで水の泡

なども頭に入れておくといいでしょう。せっかく毎日、運動をしっかりがんばってもビール1杯で無駄になってしまうこともあるのです。

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