母乳をのませ育てたほうがいいというのは、周知のとおりです。データの上でも、人工乳のミルクを与えられている子供より母乳を哺乳している子供のほうが、病気などによる死亡率も低くなっています。
では、母乳とミルクには具体的にどのような違いがあるのでしょうか?。まず、タンパク質だが、出産後第二過を過ぎてからでる成熟乳と、牛乳の成分を比べてみると、牛乳のほうが4倍も多いのです。
ただし、母乳と牛乳に含まれるタンパク質には大きな違いがある。母乳でも牛乳でも乳の中のタンパク質の多くは「カゼイン」とよばれる成分ですが、牛乳中のカゼインは母乳中のカゼインに比べると、生物価( タンパク質の体内での利用率) が低いのです。
また、牛乳中のカゼインは人間の体に対して抗原性を持っているので、牛乳アレルギーをおこす原因にもなりかねません。それに、赤ちゃんは腎臓のはたらきが未熟なため、タンパク質を多くとると負担がかかりすぎてしまうのです。
とくに生物価が低いタンパク質であると負担は大きくなる。さいきんのミルクは、カゼインをとり除いてタンパク質自体の量を少なくしています。次に、かなり違いがあるのが脂質。母乳の脂質に含まれる、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの成分は牛乳に少ない。こうした成分は、不飽和脂肪酸といわれ、ビタミンに準じる重要な脂肪酸とされています。
これに対して牛乳には、飽和脂肪酸が多く含まれている。この不飽和脂肪酸は、脳の神経細胞網の形成過程で多量に必要とされる。神経細胞網が形成されるのは乳幼児の時期のため、この時期に不飽和脂肪酸を多くとるかとらないかは、後々まで影響してきます。
大人になってかかる原因不明の病気で、視力傷害や運動に異常をきたす神経病があるが、こういった神経病は、乳児期に、牛乳の飽和脂肪酸を多くとったために起こるのではないかという見方もあります。
人間の母親は、不飽和脂肪酸を植物性の食品からとっている。だから、さいきんの育児用のミルクなどは、牛乳の脂質の代わりに、植物油を使用しているものもあります。
無機質の違いも影響大です。牛乳には母乳の3倍を超える無機質が含まれています。牛乳に含まれる無機質で代表的なものは、カルシウム、リン、カリウム、中でもカルシウムの量が多くなっていますが、タンパク質と同様に、ナトリウムなどだ。不要に多すぎるカルシウムは赤ちゃんにとって負担になってしまいます。
成人にとっては重要な栄養素であっても、赤ちゃんにとっては便を固くする程度の効果しかありません。そればかりか腎臓に負担がかかり、尿による排泄がうまくいかなくなると、水分を補給して汗をかかなければいけません。ところが、赤ちゃんはそれらを伝えることができないため、体が無理に発汗しようとして高熱にみまわれることもあるのです。
ビタミンは、添加物としてミルクにも十分加えられています。ただし、母乳に含まれる天然のビタミンをとるほうがいいことは明確です。また、牛乳にはもともとビタミンCが少ないため、むかし、ミルクを与えられている乳児にはビタミンC 不足の症状が多くみられました。
母乳が牛乳に劣るとされるのはビタミンK が少ないことで、これは赤ちゃんの突然死と関係するかもしれないとされています。ビタミンについては、母体の食生活の影響もあるので、母乳だからと安心せず、母親がバランスのとれた食事を心掛ける必要があります。鉄や鉛などの微量元素にいたっても、母乳のほうが優れています。赤ちゃんが食欲不振を起こしたり、体重が増えなかったり、発疹したりするのは、亜鉛の欠乏によるところが大きいのですが、母乳にはこの亜鉛が多く含まれています。
加えて、牛乳に含まれる亜鉛よりもはるかに吸収されやすいのです。量、成分ともに変わらないのは糖分のみということになる。こうしてみると、いかに母乳のほうが乳幼児に適しているかは一目瞭然。
さらに、母乳の効果は、こういった成分の違いだけでは説明しきれない部分もある。もともと人間の体からでるものなので、牛乳に比べれば、消化不良や下痢などの消化器系の病気を引き起こしにくいのは当然です。
しかも、肺炎や気管支炎など呼吸器系の病気にも強く、仮にかかったとしても、ミルクを飲んでいる乳幼児に比べ、回復は断然早いという。これらの効果については、まだまだ研究段階だが、母乳の中に含まれる抗体が、微生物などによる感染を防ぐからだと考えられています。この抗体は、母親がかつて感染を受けたことのある微生物に対してつくり出していたものです。しかし、一口に母乳といっても、母親の食生活や体力によって千差万別なわけだ。一方、市販のミルクはどんどん改良されています。
ガラス製のほ乳瓶を使うのはとても重要で環境ホルモンが出るプラスチック製は避けなければいけません。
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