肛門の病気である痔は、病状によって、痔核(イボ痔)・裂肛(切れ痔)・痔療(あな痔)3種類に大別できます。 イボ痔は、肛門周辺の血管が、コプのように膨らんだもの。切れ痔は、肛門の裂傷。 痔療は、便中の細菌が体内に侵入し、化膿や激しい痛みを引き起こすもので、根本的に治すには、細菌の侵入口をふさぐ手術が必要になります。 イボ痔と切れ痔の主な原因は、便秘をして硬くなった便をいきんで出そうとすることや、肛門周辺のうっ血(血流不足による血液の停滞) です。
イボ痔や切れ痔を防ぐために最も大切なのは、便秘と肛門周辺のうっ血を防ぐこと。そのために役立つのが、穀物のハトムギです。ハトムギは、東南アジア原産のイネ科ジュズダマ属の植物。インドや東南アジア、中国南部で古くから栽培され、イボ取り、美肌、滋養強壮、利尿(尿を出やすくする)、母乳の分泌促進などに広く用いられてきました。
日本へは、享保年問(江戸時代中期、1716〜35年)に、中国から渡来したとされています。
よく似たジュズダマとの遠いは、種子が結実すると穂が稲のように垂れ下がり、中身が簡単に取り出せる点。外側から、茶褐色の分厚い殻・渋皮・薄皮に覆われています。殻を取り除いて精白したものが、雑穀として食べるハトムギで、漢方では生薬名をヨクイニンといいます。
ヨクイニンは、イボ取りの妙薬として有名です。副作用のない安全な生薬の1つに数えられ「虚を補い気を益して身を軽くする(不足を補充しエネルギーを増して体調を整える)」「水毒(体の余分な水分)を抜き去る」「血流を促す」などに役立つと考えられています。そして、排膿(ウミ出し)、利尿、関節痛や浮腫(むくみ) の解消、整腸などに用いる漢方薬に使われています。
首の老人性イボとかぶれが発酵はとむぎ「スーパーゴールド」で消失
ヨクイニン、すなわちハトムギは、穀物の中でも栄養価が高く、たんばく質やアミノ酸、ビタミンB1・B2ミネラルl(無機栄養素) のカルシウム・鉄・カリウム、食物繊維などを豊富に含んでいます。食物繊維は、便通を促す働きに優れ、ビタミンやミネラルは、血流や傷口の回復を促進します。動物実験では、ハトムギのガン細胞に対する増殖抑制作用が認められ、コイキセノライドという成分に抗腫瘍作用が確かめられています。
ハトムギがイボ痔にいいのは、ハトムギに優れたイボ取り作用があるためと思われがちですが、実は、イボとイボ痔は性質が全く異なります。
イボは、表皮の角質柵胞が変化してできた腫瘍の一種。対して、イボ痔は、肛門周辺に血液がたまって血管が膨らんでいる状態です。
ハトムギの多彩な働きのうち、イボ取りに働くのは抗腫瘍作用であり、イボ痔には、便通や血流を促す働きが役立ちます。
また、切れ痔の場合は、便が硬くならないよう注意するとともに、裂傷ができた部分を早く回復させるため、肘肌門付近の血流をよくして、皮膚の新陳代謝(古いものと新しいものの入れ替わり) を高めることが大切です。
これにも、ハトムギに含まれる食物繊維やビタミン・ミネラルなどの成分が、大いに役立つと考えられます。
手軽に摂れるハトムギ茶がオススメ!
痔の改善には、殻つきのハトムギをおかゆにして食べる方法や、煎じて飲む方法がありますが、何といっても簡単にハトムギの成分を摂取できるのはハトムギ茶です。はとむぎ茶は、消化・吸収がいいので、たくさんとる必要はありません。1日当たりの目安量は、500~600ccですが、もちろん、それ以上とっても副作用が起こる心配はありません。
痔のせいで体力を消耗した人に、ハトムギの粉末は特におすすめです。ハトムギには、たんばく質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれているので、多めに取れば体力増進にも役立ちます。
ハトムギ茶は、においや味にクセがないので、摂取しやすいのが特徴です。
漢方では、ハトムギを多くとりすぎると流産のおそれがあるといわれているので、妊娠中の女性はとり過ぎに注意しましょう。もちろん、痔を回復させるには専門医の診察を受けることが肝心ですので、その点は忘れないでください。
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