免疫療法は手術では取り切れない転移した微少なガンに特に有効で

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現在のガン治療で、標準的な治療法として誰もが認めているのは、手術・放射線・抗ガン剤の3大療法だけです。このうち、手術と放射線は早期発見による限られた部位のガン(限局ガンと領域ガンという) に対する治療法であり、ガンが局所にとどまっていれば極めて有効な治療法となります。
つまり、早期ガンであれば、完全に治ることも少なくありません。

ところが、ガンは転移をくり返す病気です。見つかったときには、すでに遠くの臓器に転移していたり、あるいは早期ガンと考えて手術・放射線で治療した場合でも、その時点ですでに、原発の病巣(もともとあったガン) から遠い臓器に見つからない微小なガンが転移したりしている可能性があるので、目に見えているガンだけを手術や放射線で治療をしても、あまり意味がなくなります。
こうしたガン治療の限界は、治療効果の目安として用いられている「5年生存率」を見ればよくわかります。このことを、症例数がいちばん多い肺ガンと胃ガンで見てみましょう。
まず、早期のガンのうち、限局(ガンができた原発臓器だけに限られたもの) ガンであれば、肺ガンの5年生存率は...66%胃ガンは95%となり高くなります。

ただし、早期ガンでも、領域(隣接した周囲の臓器への浸潤があるもの)ガンになった場合の5年生存率は、肺ガンで16% 、胃ガンでは40% と、数字が大きく低下します。

しかも、これはあくまでも5年たったときに生存している患者さんの数であり、5年以後に亡くなる患者さんも少なくないので、その数値はさらに低くなると思われます。
実際には手術でガンを取ることができても、その時点でほかの臓器に転移している場合が少なくありません。そのために再発して進行ガンとなり、死に至る場合もたくさんあるのです。このことは、転移が起こった進行ガンの場合で見ればもっとハッキリしています。

進行ガンの5年生存率は、肺ガンで2%、胃ガンでもわずか3% しかありません。限局ガンや領域ガンとして早期の治療を受けても、やがて再発して進行ガンになり、結局亡くなってしまう人がいるのは、なんとも悲しいことです。これを防ぐには、たとえ早期ガンであっても微小な転移を治療し、再発を予防することを目的とした、体に優しい治療手段を積極的に併用していくことが必要なのではないでしょうか。

そこで、今注目されているのが、患者さん本人の免疫力(体にとって異物であるガンやウイルスに抵抗する力)を強めてガンを退治しようとする免疫細胞療法です。特に、現在行っている患者さん自身の免疫細胞(リンパ球) の働きを強めてガンを抑え込む「活性化自己リンパ球療法」は、副作用がほとんどないため、患者さんがどんな病状であっても行うことが可能です。

また、その効果にも注目すべきものがあります。例えば、千葉県がんセンターの発表によると、肺ガン(ⅠⅣ期) の手術後の患者さんを均等にⅡつのグループに分け、必要であれば、術後の抗ガン剤療法あるいは放射線療法を行いました。そして、第1のグループ(8人)はそのまま経過観察をし、第2 のグループ(82人) はそれらの治療と並行して、手術後に活性化自己リンパ球療法を行いました。その結果、第1のグループの7~8年後の生存率が30%程度だったのに対して、第2グループの長期生存率は、60% 程度に上昇したといいます。この報告から導き出すと、価堤偶の抗ガン剤や放射線治療だけでは、再発によって亡くなる運命にあった70% の患者さんのうちの4割ほど(全体の患者さんの30%) の人が、免疫細胞療法を加えることによって救われたということになります。
これは、単にガンが小さくなったということ』とではありません。治癒して命が救われたのです。従来の免疫療法が、3大療法を補完する意味で用いられてきたのに対して、免疫細胞療法は、3大療法に次ぐ「第4 の柱」と呼ばれていますが、3大療法と併用してより効果が期待できることから、「3大療法の基盤の療法」として、もっと注目をしていただきたいと思います。

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