乳がんの内視鏡手術は傷跡が小さくリンパ浮腫の心配も不要

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乳房の皮膚をほとんど切除せず、傷をできるだけ小さくするために行う乳ガンの手術を、鏡視下乳房手術(内視鏡手術)と呼びます。
乳ガンは、早期に発見して治療を行えば、とても治りやすいガンなのです。病院では、ステージ1 (ガンがcm以内で乳房内にとどまっている) の10年生存率は97% 、ステージ0 (ガンが乳腺の中にとどまっている) なら、100%という高い成績をあlゼりています。鏡視下乳房手術は、術後にできるだけ整容性の高いを残す目的で10数年後に日本で問発され、最近導入しています。わきの下と乳輪の緑をメスで小さく切り、そこから内視鏡を挿入し、切除する方法です。
したがって、手術後に血残る傷は内視鏡の挿入口として切問したわきの下と、乳輪の緑の2カ所だけ。しかも、傷跡がとても小さくてすみます。
わきにある腋窩リンパ節に転移が認められない患者さんでは、センチネルリンパ節(ガン細胞がリンパ管を通じて最初に流れ者くリンパ節。乳ガンの場合、わきの下にあることが多い) 生検(組織を採取して調べること) を併用することにより、リンパ節を切除する手術の場合と違って、リンパ浮腫(リンパ節を切除する:ことなどで手足にむくみが出る症状) の心配はほとんどありません。

鏡視下乳房手術は、皮膚を残すための手術です。そのため、ガンが皮膚から遠い皮下脂肪の奥深くにとどまっている場合が対象になります。乳房の皮膚の下には皮下脂肪があり、その中を乳腺が広範囲に分布しています。乳ガンはその乳腺に発生します。
ガンが大きくなって皮膚に近いところまで成長したら、ガン細胞を取り除くために皮膚を切らなければならない場合もあります。そのため、乳房に潰瘍がでkるような進行性の大きながんでは適用外となってしまいます。

乳房を温存するためには、ガンの大きさも関係してきます。仮に皮膚を残すことができても、中身を全部取り除いたら乳房のふくらみは残せません。
乳房の形を保つためには、切除する範囲が3分の1以下であることが必要です。とはいえ、3分の1以上の大きさを切除しなければならない場合でも、内視鏡による乳腺の全摘(すべて取り除くこと)ののちに乳房再建術を行うことが可能です。
つまり、内視鏡を使って乳腺を全摘しても、皮膚を残すことができれば、あとからシリコンなどを入れる方法で乳房を再建できるのです。むしろ、皮膚を多く残すことができる鏡視下手術こそ、乳房再建に向いている乳房手術といえるでしょう。内視鏡による乳腺全摘に乳一員再建を加える場合、初めの手術で乳腺全輪をしたあと、一時的に乳房の形を維持・形成するものを入れておき、2回めは形成外科でシリコンなどの人工物に置き換える手術を行います。
ここで問題になるのが費用です。1回めの全摘手術で、一時的に乳房の形を維持するものを入れておくまでは保険が使えますが、2回めの手術はすべてが保険の使えない実費になり、90万円程度はかかると考えられます。鏡視下乳房手術では、傷が小さく早く治るので、入院期問は短くてすみます。難点といえば、この手術を手がける医師がまだ少ないことです。
乳ガンは、早期受診・早期発見・早期治療を行えば、完治しやすいガンです。ところが、乳房そのものや、その美しさを失うことを恐れて受診を先延ばしにし、早期治療の機会を失う女性は少なくないと思われます。鏡視下乳房手術で、乳房の温存や再建が可能であることを広く知ってもらえば、乳ガンの早期の受診・発見・治療が広く実現できるのではないかと期待しています。

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