従来の手術ができない難治性緑内障に有効

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オペでは房水の排出口の形成や再建を行う

眼球内を満たす房水という水分がうまく排出されず過剰になり、眼圧(眼球内の圧力)が上昇する緑内障は、重症化すれば視野の欠落や失明を招く非常に危険な病気です。

一般的な初期の緑内障の治療では、眼圧を下げる点眼薬などを用いた薬物療法が行わます。しかし、120万本ある視神経の神経線維のうち、60%以上が障害を受けて機能しなくなると、見え方に異常が起こってきます。そうして、薬物療法で効果が期待できなくなった場合、上昇した眼圧を下げるための外科手術に頼らざるを得なくなります。

また、緑内障の種類によっては、初めから手術が選ばれることもあります。外科手術にはいくつか種類がありますが、これまで一般的に行われてきたのは、線維柱帯切除術(トラベタレクトミー) と、線維柱帯切開術(トラベタロトミー) という2つの手術です。

緑内障は、多くの場合、房水の出口である隅角と呼ばれる部位が、なんらかの原因でつまったりふさがったりすることで起こります。線維柱帯切除術でこは、虹彩と、眼球の表面を覆う強膜を切除して穴をあけ、隅角とは別の房水の排出口を作ります。

もう一方の線維柱帯切開術では、隅角でフィルターの役割を果たしている線維柱帯を切開し、もともと備わっていた排出口を再建します。現在、日本では毎年約5万件の緑内障手術が行われていますが、

大多数で線維柱帯切除術が採用されており、一部で線維柱帯切開術が選ばれています。

3割の患者さんはこのオペでは治らない

しかし、この2つの手術が万能というわけではありません。緑内障の種類にもよりますが、これらの手術の初回の成功率は約7割にとどまり、残りの3割では眼圧がうまく下がらないのです。

そのため、患者さんの中には何度も手術を受ける人が少なくありません。ところが、再手術の回数が増えるにつれ、効果はさらに期待できなくなっていきます。線維柱帯切除術では、術後に感染症や、眼圧が下がりすぎる低眼圧などの合併症を起こす場合があるという問題も見られます。こうした合併症が起こると、手術前より視力の低下する 危険が大きくなります。

また、せっかくあけた穴が、自然治癒の働きによってとじてしまうケースも見られます。線維柱帯切開術には、合併症の危険がほとんどない代わりに、眼圧を下げる効果が弱いという欠点があります。そのため、せっかく手術を受けたにもかかわらず緑内障が進行し、結果として視野の欠落や失明を招く場合があるのです。

当然、従来の手術で緑内障がよくなる人はおおぜいいます。しかし、限界があるのも事実です。従来の手術で緑内障が改善せず、医師から「失明を覚悟してください」と宣告される患者さんは少なくありません。そんな中、従来の手術で治らない難治型の緑内障を治す切り札として考案されたのが、「インプラント手術(セトン手術ともいう)」と呼ばれる新手術です。

房水を排出する器具を取り付けるオペ

インプラントという言葉には「異物を埋め込む」という意味があり、人工歯根を埋め込む歯科治療が同じ名前で呼ばれているのは有名です。この言葉が示すとおり、緑内障の新手術でも眼球に異物を埋め込みます。

具体的には、房水吸収部と橿小チューブからなる器具を眼球に取りつけて、チューブを眼球内に挿入し、そのチューブから眼球内の過剰な房水を眼球の外へ排出させるのです。

緑内障の新手術は日本ではまだほとんど普及していませんがその歴史は古く、実に100年にも及びます。当初は、極小チューブの代わりにウマの毛などを使う第一世代の手術法で合併症の問題が多かったのですが、時代を追うごとに第二世代、第三世代と改良が重ねられました。

そして、1995年に登場した第四世代の手術法により治療成績は飛躍的に向上し、合併症の危険も大幅に低下しました。こうしたことから、すでに欧米では、広い範囲で新手術が緑内障治療に用いられるようになっています。

実際、緑内障の新手術は、従来の手術で治らなかった難治型の緑内障にも高い治療効果を示していることが確認できています。また、術後3年以上、再発なく眼圧を正常に保てている人の割合は、76% に達しています。従来の手術では3割の人がただ失明を待つだけだったのが、そのうちの8割近くで高い眼圧が下がり、失明を回避できているのですから、この新手術は重篤な緑内障の患者さんにとっては、新たな福音といえるでしょう。

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