メラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンであり、概日リズム(体内時計) 調節に関与している。
一般に、不眠症や時差ぼけなどに利用される。また、メラトニンは抗酸化作用や抗ガン作用、免疫賦清作用をもち、ガンに対しての臨床試験も知られている。なお、米国ではサプリメントとして入手できるが、日本では、まだ認可されていない。
効能、効果は、入眠障害・不眠症の改善。時差ぼけの予防と改善。抗酸化作用・抗ガン作用。放射線防御作用。胃粘膜保護作用。抗ストレス作用。アルツハイマー型痴呆における睡眠、覚醒リズムの改善。
内在性メラトニンの分泌は、夜間~早朝に促進され、昼間に抑制される。サプリメントによる外在性メラトニンの投与は、内在性メラトニンを補足する作用をもつ。メラトニンは、概日リズムを司り、睡眠を促す作用をもつ。
高齢者やうつ病の患者では、メラトニンの基礎分泌量が低下している。
メラトニンは、フリーラジかレを除去する作用をもち、細胞質のカルモジュリンを介して働く。また、Tリンパ球によるインターロイキン4の産生を促進する。基礎研究では、抗ガン作用や免疫賦清作用、放射線防御作用、胃粘膜保護作用、抗ストレス作用が示されている。また、アルツハイマー型痴呆モデルマウスでの有用性も報告されている。
不眠症に対する効果を検証した臨床試験が報告されており、メラトニン睡眠の質、睡眠導入、睡眠時間のいずれも改善する作用をもつことが示唆された。
たとえば、国立精神・神経センターからの症例報告では、睡眠相後退症候群の患者にメラトニン1mgの投与で改善が示された。
また、時差ぼけに対する効果を調べた臨床試験でも、改善効果が示されている。さらに、20 03年に日本医科大学から報告された研究では、メラトニン3 mgの投与によってアルツハイマー型痴呆における睡眠一覚醒リズムの改善を認めた。
抗ガン作用に関して、転移性ガン患者250人を対象に、化学療法単独と、メラトニン20mg併用療法とを比較した臨床試験では、後者のほうが優れた効果をもつことが示されている。その他にも、メラトニンの抗ガン作用を示唆する臨床試験が複数報告されている。
不老長寿ホルモンというとやや過大表現の印象を受けるが、作用を考えるとまんざら大げさな表現でもない。
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