日本人の食生活というのは、塩、味噌、醤油、漬物、あるいは佃煮、魚の干物、というように塩味中心の食文化ということができると思います。
このような食生活の中で、塩分を減らすということは容易なことではありません。その結果、実行できないことに罪の意識を感じ、精神的な負担になっている場合もあります。
これはけっして小さな問題ではありません。このこと自体が高血圧の要因にさえなりかねないからです。
東大の医師は、10年ほど前に私がアメリカ留学から帰ってきた最初のころの高血圧学会では塩(食塩) の問題しか扱っていなかったのです。ところが、昨年になると塩というテーマは全体の1割にすぎなくなってしまい、残りの9割はマグネシウムやカリウム、アミノ酸、はては脂肪分といったものに置きかわっていたのです。研究の進歩を示すものでしょうが、わずか10年前とくらべても隔世の感があります。
このような研究動向は、マルチニェートリション(全栄養素) の血圧に対する影響が重要だという考えと一体になっています。
しかし、私はもっと進んで全環境とでもいうか、ストレスの問題や運動、アルコールなども含めた生活環境と血圧の関係を考えて見なければいけないのではないかと思います。
まったくその通りではないでしょうか。そのような反省より、「減塩」から「適塩」という言葉が使われるようになってきました。毎日いやいや仕事をして、上司に怒られ、帰るのは夜中過ぎ、家に帰れば奥さんに文句をいわれ、日曜日はごろ寝、趣味といえばグチをいいながらの赤ちょうちんこのような生活をしながら、1日の塩分を2グラム~10グラムにしたところで、高血圧が治るでしょうか。
これは、「塩分= 高血圧説」だけではなく、「タバコ=肺ガン説」「ワラビ=発ガン説」などについてもいえることですが、あまりにも特定の原因に決めつけすぎているように思います。もちろん、高血圧や腎臓病の人には、減塩が必要なこともあると思います。しかし、、最近の減塩運動はややヒステリックなような気がしてなりません。
こちらでも同じようなことを言っていますが最近の減塩の取り組みに疑問を感じます。当然、血圧が高ければ塩分の濃いものはできるだけ避けたほうがいいのは言うまでもありませんが、月に1~2回、味の濃い好物を食べてもそのほうがストレス発散になり血圧もさがるかもしれない?と言いたいだけです。
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