バナバとは、ミソハギ科の植物であり、和名をオオバナサルスベリという。東南アジアや中国南部からオーストラリア北部まで広く分布する。バナバの葉に含まれる成分には血糖値を下げる働きがあることから、糖尿病に対するサプリメントとして注目されている。
フィリピンの伝統医療では、バナバが薬用植物として利用されており、その菓を煎じて糖尿病の予防や治療に利用してきた。
バナバにはいくつかの有効成分があり、そのうちコロソリン酸という分子がよく研究されている。食事から消化吸収されたブドウ糖は、膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンの作用によって血液中から細胞に取り込まれる。糖尿病ではインスリンが十分に効かない状態(これをインスリン抵抗性という) になっており、ブドウ糖が取り込まれずに血液中にとどまる。すると、血液中のブドウ糖濃度が高い状態、つまり高血糖が持続することになり、さまざまな合併症を引き起こすのである。
バナバに含まれるコロソリン酸は、細胞内へのブドウ糖の取り込みを促進する働きをもつ。そして、コロソリン酸によって血糖値の上昇が抑えられ、糖尿病が改善する。また、広島大学からの研究報告では、バナバ葉から単離されたラグルストロエミンが、ブドウ糖取り込み促進作用をもつことが示された。
このときの細胞内情報伝達メカニズムの解析から、ラゲルストロエミンがインスリンとは異なる機構で、インスリン様作用を引き起こすことが示唆された。伊藤園の研究グループによる報告では、ラットにおける実験において、バナバ葉の熱水抽出物が、アミラーゼ活性などを阻害し、デンプン溶液との同時投与によって血糖値の上昇を抑制したという。その他、バナバ実の成分による、マルターゼおよびグルコアミラーゼ阻害作用、キサンテンオキシダーゼ阻害作用などが報告された。
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