紅麹

紅麹は、中国では古来より食品の着色などに用いられてきた麹菌の一種である。発酵食品だけでなく伝統医療でも利用されてきた。紅麹にはコレステロールの合成を抑える成分が含まれており、医薬品に匹敵するほどのコレステロール値低下作用を示す。
また、医薬品と異なり、副作用は稀というメリットがある。紅麹は、米国では「レッド・イースト・ライス」と呼ばれ、コレステロール対策の定番サプリメントの1 つである。

効能、効果は、高コレステロール血症の予防と改善。高中性脂肪血症の予防と改善。薬剤性肝障害の予防。

紅麹にはモナコリンという物質が含まれている。モナコリンは、コレステロール合成に必要なHMG -CoAという酵素の働きを阻害し、コレステロールを低下させる。モナコリンは、医薬品として扱われるスタチン系と呼ばれる高脂血症薬のうちの、ロバスタチンと頬似した構造をもつ。そのため、1990年代に紅麹が米国にサプリメントとして紹介されたとき、その作用機序を考慮すると医薬品として規制すべきとする意見があり、訴訟にまで発展した。
ただし、紅麹がコレステロールを低下させるメカニズムに関して、すべてが明らかになったわけではない。モナコリンが主成分であるにせよ、植物ステロールやフラボノイド類なども効果をもつため、それらが共同して働いていると考えられる。また、ラットを用いた基礎研究では、紅麹がアセトアミノフェン誘導性肝障害を予防することが示された。

高コレステロール血症に対する紅麹の効果について、これまでにたくさんの臨床試験が行われてきた。それらを平均すると、紅麹は、4~12週間の服用によって、総コレステロール値を10~20% 低下させ、LDL(悪玉)コレステロール値を20~30% 低下させる効果がある。
また、HDL(善玉)コレステロール値を上昇させ、中性脂肪を低下させるという効果も報告されている。
たとえば、2001年に日本臨床栄養学会稚誌に報告された臨床試験によると、高脂血症患者21人を対象にして紅麹製品を1ヶ月間投与したところ、血中総コレステロール値は平均256から234へ、LDLコレステロール値は平均168 から147 へ有意な低下を示した。中性脂肪値も低下したが、HDLコレステロール値は不変であった。

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