体や 脳 にとって、良い油、悪い油 に関する情報です。
最近は、いろいろなところで悪い油の話がされるので、ご存じの方も多いかもしれません。しかし、世間にこれほど悪い油が出回っているのを見ていると、まだまだその怖さを知らない人が多いのも事実です。実際、悪い油がもたらす健康被害は想像以上に甚大です。
オメガ3 脂肪酸とオメガ6 脂肪酸 について 摂取バランスが悪いと 脳 にダメージ?
一言で油と言っても、さまぎまな種類があるのですが、オメガ3 脂肪酸とオメガ6 脂肪酸は必須脂肪酸と呼ばれます。人の体では合成できないので食べものから摂る必要がありますが、人体にとって重要なのは、オメガ3 脂肪酸とオメガ6 脂肪酸のバランスです。現代人の食生活は、オメガ3 脂肪酸の摂取量が減少し、オメガ6 脂肪酸が増加するアンバランスな状態になっています。
オメガ3 脂肪酸は、亜麻仁油、しそ油、えごま油のほか、イワシやサンマなどの魚の脂に含まれています。一方、オメガ6 脂肪酸には、べ二バナ油、コーン油、ごま油、大豆油、グレープシードオイルなどがあります。日常的によく使われる植物油の大半は、オメガ6 脂肪酸のほうですが、現代の日本人に積極的に摂ってほしいのは、オメガ3 脂肪酸が含まれる油です。
オメガ3 脂肪酸とオメガ6 脂肪酸の理想的な摂取量は、1 対1 から 1 対 4 ほどとされています。ところが、現代人の食事では 1 対 10 から 1 対 30 になりやすいといわれます。では、オメガ3 脂肪酸の摂取量が減り、オメガ6 脂肪酸の摂取量が多くなると、このアンバランスはどのような影響を体にもたらすのでしょうか? 最大の問題は、うつ病になる可能性が高くなることです。
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脳神経が急速に発達する幼児期に、脂肪酸の栄養バランスが慢性的に悪い状態にあると、成人した後、抑うつや不安など情動に悪影響をもたらすのではないかと仮説をたて、マウス実験が行われました。実験の結果、オメガ3 脂肪酸が胎児期から慢性的に足りていないマウスは、抑うつ行動が現れました。また、脳神経の働きも、柔軟性を欠くものでした。オメガ3脂肪酸の不足が、脳神経の働きと情動行動に有害な結果をもたらすと明らかにされたのです。
ではなぜ、油が脳の働きに影響を与えるのでしょうか。それは、脳の 6 割は脂質でできているからです。そのため、脳は油を絶えず欲しがります。脳にとって油は油で、健康の善し悪しなど関係ありません。油の供給量が減れば、「油をもっと摂れ」と指令を出します。
今度スーパーヘ行ったら、油を含む食品を改めて眺めてみてください。オメガ3 脂肪酸を含むものは少量で、オメガ6 脂肪酸を含むものが多いことがわかるでしょう。オメガ3 脂肪酸を含む亜麻仁油やしそ油、えごま油は高価ですが、オメガ6 脂肪酸を含む植物油は安価です。オメガ6 脂肪酸を豊富に含む植物油は、安価であるため広く流通しやすく、入手しやすくなっています。そこで、脳に命じられるまま、私たちは、身近なオメガ6 脂肪酸を含む食品をやたらと食べてしまう悪循環に陥るのです。
脳に大切な働きをする レシチン についてはこちら https://108-blog.com/highquality-sleep/2021/09/post-10.html
多く摂りたいのは オメガ3 脂肪酸
うつ病が20世紀に入って急増しているのは、オメガ6 脂肪酸を多く含む植物油の摂取量が増加していることに一因があると考えられています。オメガ6 脂肪酸は、炎症性のある生理活性物質の原料になり、オメガ3 脂肪酸は炎症を抑えて免疫を増強する生理活性物質の原料になります。うつ病患者では、オメガ6 脂肪酸のほうの生理活性物質のレベルが高いと報告されています。さらに、オメガ6 脂肪酸を摂り過ぎると、アレルギーが起こりやすくなるという報告もあります。
脂肪酸のアンバランスを整えるには、オメガ3 脂肪酸を意識的に摂ることが大事です。ただし、オメガ3 脂肪酸は、非常に酸化しやすいという側面があります。酸化された油が体内に吸収されると、細胞膜にダメージを与え、周りの組織の老化を進行させる可能性があります。これを防ぐには、少量ずつ買い求め、開封後は早めに使い切ること。冷暗所に保存すること。加熱調理を避け、食べる直前に料理にかけること。この 3 点を守ることが大切です。
オメガ3 脂肪酸を摂るためには、新鮮な青魚のお刺身を使ったカルパッチョなどがおすすめです。薄切りにしたお刺身に岩塩を軽くふりかけ、亜麻仁油やえごま油をたらし、上からレモンやライムを搾ります。とてもシンプルな料理ですが、おいしく効果的にオメガ3 脂肪酸を摂ることができます。
人工的につくられた トランス脂肪酸 に注意する
もう 1 つ、食べるのを控えたい油があります。それは、トランス脂肪酸です。トランス脂肪酸は、油に水素添加して人工的につくりだされた脂肪酸です。脂肪を研究している科学者たちの間では、油に水素添加することを「オイルをプラスチック化する」といわれます。トランス脂肪酸は、プラスチック同様、自然界には存在せず、そのため自然界では分解されない物質なのです。
現代は、いつのまにかトランス脂肪酸を多く含む食品だらけです。マーガリンやショートニング、フライドポテト、ビスケット、クッキー、クラッカー、パイ、ドーナツ、ケーキ、シュークリーム、アイスクリーム、菓子パン、クロワッサン、インスタント麺、スナック菓子など、比較的安価な食べものの多くに使われています。なぜなら、トランス脂肪酸の油は、人工的に安く大量生産できるからです。
デンマークでは、2003 年から、最終製品に含まれる油脂 100 g 中のトランス脂肪酸を 2 g 以下とする規制を設け、また、2011 年 10 月から「脂肪税」という制度で健康に悪影響を及ぼす食品に課税が行われています。2012 年 1 月には新たに通称「チョコレート税」も設けられています。
日本国内には トランス脂肪酸 の規制がない
その点、日本はどうでしょうか? トランス脂肪酸の義務表示すらいまだに設けられていません。2012 年に開かれた内閣府食品安全委員会の専門調査会では、「通常の食生活では健康への影響は少ない」として、日本国内での規制は不要とする内容の評価書がまとめられました。その理由は、「多くの日本人のトランス脂肪酸の摂取量は 1 % 未満なので心配ない」というものです。しかし、ポテトチップやアイスクリーム、菓子パンの大好きな人はたくさんいます。こうしたものを日常的に食べている子どもも、決して少なくないでしょう。それらの人々の摂取量は、基準値を超過する可能性が十分にあります。油は体に必要なものですが、悪い油を摂ると脳を壊します。国が規制を設けない日本では、自主規制するしか健康を守る方法はないのです。
ただ、ダイエットの時には油の摂り方でずいぶん効率が変わるので、油はすべてダメ! と思うのは間違いです。ダイエットに最適な「サルバチアダイエット」などもオメガ3 脂肪酸を利用しています。血管の脂肪を大掃除する働きにも注目が集まっています。
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