断食という食習慣の矛盾を考える

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食養とは、食べ物に注意し、栄養になるものを食べて養生すること。日本の食養の流れはいくつかありますが、それを集大成したのが江戸時代初期の漢方医で本草学者・貝原益軒でした。

彼の記した『養生訓』の中で説かれていることが、その後も日本の食養の基本になっています。明治時代に入ってから、医師の石塚左玄が科(化)学的な食養論を唱え、『食養会』を設立しました。

この食養会の患者でもあった桜沢如一は、のちにヨーロッパへ渡り、食養論を広めました。桜沢如一の名前は海外ではジョージ・オーサワ、食養論は『マクロビオティック』という名で知られています。

つまり、日本の食養が世界的に広まったと考えられるわけです。厳格なマクロビオティックは、玄米菜食を指します。そして今やマクロビオティックも、無農薬野菜を売るビジネスのメカニズムの中に組み込まれています。

この厳格なマクロビオティックに反対する専門家がいることも事実です。日本の伝統的な食事は、それ自体がバランスのとれた栄養食です。マクロビオティックは欧米に広める際、新鮮味を出すために玄米三食とか野菜だけとか極端なことを言って、それをセールスポイントにしたわけです。

肉食文化の欧米人にとって、人間が三食肉を食べずに生きていけるなんて、新鮮な驚きだったに違いありません。マクロビオティックに影響を受けてドイツで生まれたのが、『ゲルソン療法』です。がんを食事療法で治すことを目指し、新鮮な野菜と果物を推奨しています。

しかし、これは日本人には特に虚証、中庸の人には危険な食事療法です。生野菜、果物は体を冷やす、寒の食べ物にあたります。

実証タイプの多い欧米人や体の強い人以外は、野菜も必ず火を通して食べるべきなのです。デトックスやダイエット法として知られる『ファスティング』は、断食のこと。ファスティングで一番の問題は、医療の専門家がいない断食道場が多いことです。

また、それが原因となる死亡事故が毎年起きていることもお知らせしておかなければなりません。ファスティングをすると、人間はハイになります。

その仕組みをお伝えすると、人間の神経細胞が代謝する方法は2つあります。ひとつは糖分、もうひとつは脂肪酸。断食をすると食事がとれないから、皮下脂肪が代謝されて溶けてきます。

すると、血中の脂肪酸の量が増えてきて、コレステロールも増えてしまいます。断食すると血管がきれいになるとみなさん思っていますが、実際は逆で、断食したとき血中の脂肪は増えているんです。これは毎日ラードを何kgも食べているのと同じで、血管にかなりの負荷がかかります。

従って、動脈硬化がある人は断食をすると余計症状が重くなります。ところが断食をして脂肪が溶け、脂肪酸が出てきて脳を刺激すると、一時的にハイな、なんともいえない気分になるのです。これが病みつきになってしまう人もいます。断食して辞めて太ってまた断食して、と繰り返すと、太っているときは栄養のあるものを食べているわけですから、当然コレステロール値は高くなります。そして断食して貯めていたコレステロールが溶けるから、また1 がる。年がら年中コレステロール値が高くなってしまうのです。こういう人は、動脈硬化の進行が速い。それは健康脳障害を起こしているということになるので、勧められません。健康のために断食するということ自体すでに矛盾していて、断食そのものが健康には悪いのです。

ただし、40歳以上になった2食にするような食習慣は糖質、脂質の過剰摂取を抑制できるのでおすすめです。