ビールの植物ポリフェノールがガンを抑制

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さわやかな苦み・ホップにも栄養分の吸収を促進する働きが

ビール自体から薬用パワーが発見された。それも発ガン物質の作用を抑制する効果である。発見したのは岡山大学薬学部のグループ。『日本癌学会』で発表し、大いに注目を集めた。
「緑茶のポリフェノールとよく似た成分がビールにあるので、ビールだってと考えて研究を始めたという。
実験はサルモネラ菌1億個を試験管に入れ、そこへ『トリプP2』を10億分の2グラム加えた。
『トリプP 2』は、肉や魚の焦げた部分に含まれる発ガン物質としてよく知られている。すると、サルモネラ菌約2800個が突然変異を起こしたのだ。
次に『トリプP2』を加えるときにビール0.1ミリリットルを一緒に加えると、サルモネラ菌の突然変異の数は約半分の1400個に減少。さらに、効果を強くするために10倍に濃縮したビールを使用。すると予想どお

り突然変異数は約10分の1の280個にまで減少したのである。発ガン物質『トリプP2』のほかに『ニトロソグニアジン』も使った。これはネズミの胃ガンを誘発する薬。
『トリプP2』の実験と同じように『ニトロソグニアジン』を使うと、やはりサルモネラ菌は突然変異を起こし、ビールを加えると、変異した菌の数は80% の減少を見た。

ビールに含まれている多数の植物フェノール類が有効にガンを抑制していると考えられますし、フェノール類以外の可能性もある。ガン抑制作用のあるビール。
古代エジプト時代にはビールは「液体のパン」 といわれ、種々の病気の治療、予防に効果があるといわれ、大いに愛飲された。

免疫療法でガン治療を行っている医師は、「ビールに含まれている栄養分が、いわゆる滋養に効果を出すのでは、考える。
加えて、ビールの炭酸ガスが胃壁を刺激して胃液の分泌を促しますから、胃が活発に働きだし、食欲を起こさせます。食欲不振の方は食欲が出てきます。

食前酒の効果ですね。そして、ビールのあのさわやかな苦みになっているホップも、栄養分の吸収を促進して体力維持、補強にパワーを発揮すると考えられる。もちろん、ビールにも5% 程度のアルコールが含まれており、血液循環をよくする。

そして、アルコールの効用としてのストレス解消。ストレスも発ガンの大きな原因のひとつ。それを解消してくれるので、やはりこの点でも身体の免疫力はアップする。
さらに、注目したいのは動脈硬化を起こし、狭心症、心筋梗塞、脳卒中に結びつく悪玉コレステロール。
ビールはそれを除去する善玉コレステロールを増やす。

ドイツでは、ビールを飲む人と飲まない人では、ビールを飲む人のほうが善玉コレステロールが5~15mg/ dlも高いという疫学調査も報告されている。ビールは血液をきれいにし、動脈硬化も予防してくれるのである。が、ビールの飲み過ぎは、逆にガンのリスクを生む。

1日に大瓶2本以上飲んでいる人は直腸ガンのリスクがグンとアップするという報告もありますし、ビールとワインを多く飲む女性は乳ガンのリスクもアップするという報告もある。
薬にもなれば毒にもなるビール。ならば薬用効果をドカーンと得たいもの。

ビールを飲むと、ガンにかかりにくくなる可能性はあると話す医師は多い。今後、ビールのガン抑制物質が特定されれば、大変なビールブームが巻き起こるかもしれない。

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