動脈硬化、心臓病に加えてガン予防効果も明らかに
世界で最も赤ワイン好きの国民といえば、何と今や日本人なのである。赤ワインが健康にいいことがすっかり定着したからだ。が、どのように身体にいいかとなると、正しく答えられる人はその1 割にもみたない。そもそも赤ワインに注目が集まったのは、フランスでのこと。肉の消費量、乳脂肪の消費量がヨーロッパの他の諸国と同じように高いにも関わらず、心臓病での死亡率が極めて低い。
この現象を「フレンチ・パラドックス(フランスの逆説)」 と呼び、疫学的に赤ワインがその鍵を握っていると思われていた。そして、フランスの研究者が悪玉コレステロール(LDLコレステロール) が酸化した酸化LDLコレステロールが動脈硬化を起こし、赤ワインに含まれるポリフェノールが酸化を抑制するといった仮説を立てた。試験管内ではそれが証明されたが、果たして人間では。人間での結果は19994年10月、英国医学誌『ランセット』に掲載された。発表したのは日本の研究グループ。リーダーだった国立健康・栄養研究所名誉所員で「赤ワインを飲んでいると、動脈硬化への進行度が人で10% 少なくなった。ポリフェノールが酸化防止に働いたのです」と。
研究は33歳から57歳のビジネスマン10人の協力を得て行われ、条件を同じにするためテスト中は全員同じ食事をとった。最初の2週間は抗酸化物の入っていないウォッカを。体重60kgの人で1日160ml飲んでもらった。そして、血液中のLDLを取り出して酸化度合を調査した。「ウォッカではほとんど影響がありませんでした。
次に、ウォッカを赤ワインに代え、体重60kgの人で毎日500ml飲んでもらい、普段と同じ生活をしてもらった。そして、血液中のLD Lの酸化度合を測ると、約10%程度酸化されにくくなったのである。「赤ワインが動脈硬化を防ぎ、結果、心臓病を予防するのにつながっているのです。
以降、赤ワインの研究は世界的に広く行われ、高脂血症を予防する、そして、ガンを予防することがわかってきたのである。赤ワインには強い抗酸化作用があるので、ガン予防については可能性が高いと思われていた。その期待をはっきりと裏付けてくれたのが、アメリカのイリノイ大学の研究グループ。研究報告はアメリカの権威ある科学雑誌『サイエンス』の1997年1月号に掲載された。それはマウスを使った実験で、白血病のガン細胞、皮膚ガンのガン細胞の両方を大きく抑制したという。
それも赤ワインに含まれているポリフェノールの中の『リスベラトロール』であることも特定したのだ。リスベラトロールは、ポリフェノールがブドウの皮に多く含まれているのと同じで、やはりブドウの皮に多い。
さらに、ブドウの種に多く含まれているケルセチンはタマネギに多く含まれている抗酸化物質だ。これらの研究報告では、赤ワインのガン予防ははっきりしたものの、抗酸化イコール赤ワインのガン予防と証明されたわけではない。が、赤ワインの抗酸化力の強さは、証明済みなので、聞達いなくガン予防に関与していると思われる。
赤ワインのポリフェノールに含まれるアントシアニンは目にさまざまな効能、効果をもたらす栄養素。ガンだけでなくさまざまな効能がある。
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