疲れの原因となる「サビ」を増やしていませんか?

  • 慢性的な肩こりや腰痛に悩まされている
  • 頭が重い
  • 朝なかなか起きられない
  • つい食べすぎてしまう

このような「病気というわけではないけど、なんとなく調子が悪い」というとき、だいたいみんな「疲れがとれなくて」「疲れがどんどん溜まっていく」といいます。 では、そもそも「疲れ」とは何か? といえば、実はからだが「錆び」た結果なんです。たとえば、メンテナンスもせず、ごくたまにしか使わない自転車は、あちこちサビてきます。動かすたびにギシギシ・キィキィ音がするし、さらにそれを放置すると、 部品が固まって動かなくなったり、腐ってはずれたりしてしまいます。

この自転車でいう「錆び」の問題が、同じようにからだにも起こっているんです。疲れたときは、からだがだるくて、背中がこわばったり、肩が凝ったり、頭が重くなったりするのです。

それは、からだがサビてきて関節が十分に動かなくなってしまうからです。そして、からだがサビればサビるほど、首や腰がどんどん回らななっていきます。

たとえば、手を握ったときに関節がこわばった感じがするとか、肩が痛くて万歳のポーズができないとかです。これらは全部、関節がもっている本来の可動域が制限されることで起こる現象です。

古い扉を開けたり閉めたりするときに、きしんで「キィー」って音を立てたり、最後までしっかり開かなくなったり、閉まらなくなったりすることがあるでしょう。からだを動かしたときに勝手に関節が鳴ってしまったりするのも、同じように「サビ」ているからなんです。

体が硬い人は疲れやすい

たとえば手や指先っていうのは、普段の生活の中でよく使う部分。使う頻度が高い割に、比較的痛めにくい特徴があります。これが「正常な可動域は、よく使うことによって保たれる」ということを実証しているのです。逆にいうと、使われなくなっている場所が問題で、そこが「サビ」の発生しやすいところになります。外反拇址になったり、からだに左右差ができたりする人が多くなっているのは、足の親指を動かす機会が減ったことで、そこがだんだん退化し、からだの重心が偏ってしまっているからです。

現代人は特に、スポーツでもしない限り、手を高く上げたり、後ろに大きく回したりという動きをほとんどしないし、手の先のほうだけ動かせばすむような生活になりがちで、肩甲骨をしっかり動かす機会が少なくなってしまっているのです。

ところで、ここ数年ずっと、ヨガがブームでしょう。これは、からだを動かさないと関節の老化、からだの老化が早くなるということに、みんなが気づきはじめているから起きたものだと思います。ヨガはいわゆるスポーツとは違って、生涯にわたって自分のからだと向き合い、適切にからだを動かしていくことで、からだが本来もっている力を引き出していこうとするものです。

極端にからだを使わなくてすむようになってきた現状に対する、「ちゃんとからだを使いたい」という、からだそのものからの要求なんです。よく「赤ちゃんは骨折しにくい」といわれるけど、それは、焼き鳥でいう「軟骨」にあたる部分が多いからなんです。つまり、小さい子の骨は、しなやかで柔らかいということなのです。小学校の低学年くらいまでは、背中で組んだ手を後ろから前にもってこられる子が、クラスに必ずいたはずです。座ったまま足を持ち上げて、かかとを首の後ろに回せる子とかそれが、成長するにつれて関節の可動域が制限されてくると、だんだん首や肩が回らなくなってきます。つまり、からだがサビて硬くなっているということです。その結果、ちょっとした行動や移動もおっくうになります。それは、普通ならなんでもない頼まれごとが、足を折っていたり大ケガをしていると、ものすごく負担になるのと一緒です。動くのが負担になり、人に動かされるのも負担になります。そうすると人は、疲れてしまうという図式です。

ただし、これは単純に成長に伴ってからだが完成し、子どものころよりからだが硬くなっていくから「サビる」「疲れる」というわけではありません。その人が使うべきものを使っていないから、動かせる範囲が狭まるということなんです。こうして関節の可動域が制限されて「硬くなってしまうのですつまり「サビてしまったからだ」をそのままにしておくと、どこかで必ず不具合が出てきてしまいます。

風邪を引きやすい人の特徴は背中が硬い

僕が「骨盤体操」を指導していたころ、背中の筋肉、僧帽筋(首、肩から背中の上部にかけて広く覆っている筋肉) が退化している人が多いのに驚いたことがあります。つまり背中の「サビ」です。これは単に筋肉が衰えているというだけの理由ではなくて、ここがサビてしまうと、風邪を引きやすくなるんです。風邪の引きはじめは、背中がぞくぞくするのもこうした理由うからです。

詳しくいうと、「首のしっぼ(大椎)」を中心に背中がザワザワとする感じです。この背中の僧帽筋がしなやかさを失って硬くなると、血液が流れにくくなって栄養が行きわたらなくなり、免疫力が落ちてしまうのです。そうすると、ちょっとした気温差でも体温調節ができずに悪寒を感じて、まさに「風邪を背負い込んでしまう」ことになるわけです。こんなふうに、からだがサビてしまうと、その機能を十分に発揮できないだけでなく、疲れを感じやすくなったり、さらには不快な症状に発展することもあるんです。

また、もうひとつからだに大きな影響を与える「サビ」が、からだにたまるゴミ=老廃物。わかりやすいところでは、あまり汗をかかないとか、生理がつらいとか、便秘がちとかいうのも同様です。からだの中の余計なゴミがきちんと捨てられていないことで不調をきたしている人が多いのも現代人の特徴です。

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