頭蓋骨はジグソーパズルのピースみたいに、小さな骨が何個も合わさって丸い形になっています。そのつなぎ目はくっついて動かないのではなく、肩甲骨などの開閉とともに開いたり閉じたりしてるんです。このつなぎ目の部分に「サビつき」があると、そこを起点に頭痛になることも。
この「サビつき」には、頭蓋骨のパーツが開きっばなしの状態でサビてしまっているときと、閉まりすぎのピキピキの状態でサビているときがあります。前者の場合は、開き切った松ぼっくりみたいに、パーツのひとつひとつがゆるんでこうとうこつ下垂しているので、顔も大きく見える。眠りすぎで後頭骨が下垂して、後頭骨と頭皮のエリアがむくんで、水がたまっているときなどがそうです。
そんなときは後頭部のl頭皮がつまめてしまうくらいです。逆に、閉まった状態で固まっている場合、こめかみが落ちくぼんで、青い静脈が浮いて見えます。閉まっているぶん、顔は小さく見えるけど、どちらかというと「怖い顔」になってしまう。だから、たとえば偏頭痛のような「サビつきが原因」の頭痛のときは、ブラシや指で頭蓋骨を叩くと効果的。ゆるみっばなしのときは速く、ガチガチに固まっているときはゆっくりと。パカバカと音がするくらい思い切りよく、気持ちいいくらいに叩いてみてください。
腰湯をしながらだと、さらに効果的。それだけで頭蓋骨にしなやかさが戻ります。先に「肩甲骨の開閉」と書いたけど、カンのいい人は「じゃあ肩甲骨の動きがスムーズになれば頭痛はなくなるんじゃないの? 」と気づいているかもしれない。まさにそうで、頭痛は肩甲骨の可動性と大きく関係します。だから、肩甲骨のサビとりも重要。肩甲骨のサビとりには、普段の生活の中で腕を意識して上げるような動きをしよう。これで頭痛も肩こりも解消できます。
また、目の疲れからくる頭痛には、後頭部を温めるのが効果的。後頭部は視神経をつかさどる場所なので、ここを蒸しタオルなどで温めると血行がよくなってラクになるはずです。
こんなふうに、頭痛にはいくつか原因があって、それぞれに解決法はあるけど、現代人の頭痛には、もっと根本的な問題があるんじゃないかと思います。脳には、右脳と左脳があって、この2つの脳を脳梁という橋がつなぐことで、情報のやりとりが行なわれます。この脳梁がストローくらいに細くなってしまうと、たとえばそれは、情報の伝達量が少ない、昔の電話回線みたいなもの。逆に、この橋に十分な太さがあり、情報の伝達量が多くて伝達の速度も速いと、インターネットのようになる。右脳と左脳というのは、実は別人格で、片方がもう片方をそそのかそうとしたときに、考えなしにそのささやきに乗っかってしまうか、「待てよ」と思って踏みとどまることができるかは、この2 つの脳の間で情報のやりとりが十分に行なわれて対話がきちんとなされているかどうかにかかっています。
だから情報伝達の橋が細すぎると、「お姑さんに怒られた。あいつは鬼だ」ぐらいで終わってしまう。だけど、脳梁に太さがあれば、いろいろな情報が行きかって「もしかしたら、私に何かを教えてくれようとしたんじゃないか」って思えるんです。そういう意味で、この脳梁が細くなっている人が昨今多いように思います。自分自身の中での対話力がなくなってきて、いってみれば、物事をいろいろな角度から見る力がなくなっているのです。
そうすると、物事に対する理解の仕方がすごく幼稚で、自己中心的な発想になり、被害者意識が過剰になります。そんなふうに幼児性が高いと、当たり前だけど、大人として生活を営んでいくのは窮屈だよね。そこでパニックになったり、頭痛が起こったりしやすいんです。脳梁が細くなっている原因のひとつは、右手と左手を、十分に、同等量使えていないことにあります。脳と手が密接に関わってていることは知られていると思いますが、人間の脳の性能は、ほとんどその人の手の動きに左右されているといっていいでしょう。
大したことでなくていいんです。集中力や緊張感もいらない。ただ、晩ご飯のあと片づけとか、ちょつと歩いて買いものに出かけるとか、日常的な家事を行なうことによって、意識しないうちに、右脳と左脳がきちんと対話して、脳のデータ送信を終えてくれる。自分のからだを実際に使うことによって、脳の性能が上がれば、幼児性が原因の頭痛はなくなっていきます。
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