人が「うつ」へ向かうとき、からだはどうなっているか。たいてい、肩甲骨も骨盤も閉まる方向にサビついていて、まったく開けない。ほとんどのエネルギーが骨盤や肩甲骨が閉まっていくために消費され、全身を支える重要な筋肉がカチカチに縮んでいます。
こんなふうに閉まり切った状態でサビついていると、栄養を摂取してもきちんと吸収されずに垂れ流しになり、基礎代謝は異常に高く、非常に燃費が悪くて、呼吸数も脈拍数も多い。だから常にスプラッター映画の主人公みたいな、緊迫した状況になっていて、生理的な危機に瀕しているんです。そして、余計にエネルギーを温存しようとして逆に疲れやすくなったり、栄養を摂取しようと食べすぎたりするんです。
結局、生命活動にゆとりがない状態になると、思考がどんどんネガティブなほうに傾き、悲壮感や絶望感を常に抱きつづけることになる。それを解消するためには、「疲れやすくて、横着で、動かなくなって、それでもなお、食べすぎる」というサイクルから脱却する必要がある。
そこで、自分の欲望を満たすものを自分の手でつくり出すことをしてみよう。たとえば、買ってきたものを食べるんじゃなくて自炊するとか、ケーキを焼いてみるとか。そうすると、自分が欲しくてつくつたんだけど、余ったからまわりの人にあげてみた。そうしたら喜ばれたというように、コミュニケーションが生まれるわけです。人が喜んでくれると、「またつくりたい」という動機になる。結果、孤立した状態から抜け出して少し社会とつながる。
つまり、売っているものですませないで、何かを自分の手でつくり出して他人とつながることができれば、うつも徐々に解消されていくんです。 考えるより手足を動かそう!
それから、「頭痛」のところでも紹介しましたが、うつの状態になったら、「考えるより手足を動かせ」ということもいえる。人間の脳というのはすごく不思議で、たとえば、散歩をしているときとか寝起きとか、自分ではまったく意識していない瞬間に突然アイデアがひらめくことがあります。
自分が抱えているいろいろな課題やテーマ、問題も、さんざん考えたあとは、いったん手放してみるといい。すると、脳が勝手に結論をまとめて出してくれる。こんな不思議で有効なしくみを、もっと使ったほうがいいと思う。脳のこのシステムは、ネガティブさのまったくないしくみなんです。
でも逆に、人が物事を考えるときは、だいたい言葉を使って自分の意識できるスピードで、頭の中で堂々巡りになっていることが多いのです。そんな状態だと、どんなに時間をかけて考えても、ポジティブな方向に結果が出ない確率がものすごく高いんです。だから、問題を解決したいなら、考えたあとは、思い悩む時間を意識的に生活の中から消去していったほうが、ポジティブになれるし、いい答えも生まれる。思い悩む時間があるなら、ちょっと歩くとか、家事をするとか、あるいはもう寝ちゃうとか...。頭よりからだのほうを使って何かしたほうが、よっぽどすっきりできるはずです。
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